黒子のバスケ

Dearest
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「また部員が辞めたんだってさ。
まぁ、練習きちーし、大坪さんも宮地さんも厳しーし、のこれねーやつはのこれねーよなー。
ほら、昨日、宮地さんにぶっ殺すとか言われてたやついたじゃん。
辞めたのそいつだって。
まぁぶっ殺すとか本気じゃねーのになー。」

黙々とシューティング練習をしている緑間に高尾は話しかけるが、緑間はそうかとつぶやいただけでシューティング練習をやめることはなかった。

秀徳高校は東の王者と呼ばれている。
選手層も厚く、練習も厳しい。
4月にはそこでスタメンを夢見てバスケ部に入部しても、厳しい練習に音を上げてやめていく人間も多い。

今日も一人、一年生が退部届けを出した。
そのことを高尾は緑間に告げたが、緑間は我関せずだ。

ま、真ちゃんはそういうのさみしいと思うタイプじゃないもんね。
高尾はちょっとだけ笑った。

練習が厳しいのは、帝光中も同じだった。
緑間はバスケを辞める人間を何度も見てきてるから、もうなんとも思わないようになっていた。

辞める人間は辞めるし、戻ってくる人間は戻ってくる。
人に言われてやめてしまうくらいなら、どの道長くは続かない。
緑間はそう思ってる。


「そうだね。
だけどみんながみんな強いわけじゃないよ。
誰かに背中を支えてもらったら、踏みとどまれる人もいるかもしれないじゃない?
そういう人がいるんだとしたら、私はその背中を支えたいの、マネージャーとして。
だから探してくる。」

だけど彼女は、桃井さつきは違った。
紫原に毒を吐かれ、ショックで体育館から出て行った部員を、さつきは必ず追いかけた。

それでも辞める人間もいれば、戻ってくる人間もいた。
さつきのそういう優しさも緑間は好きだった。
だけど、いいことかと言えば、必ずしもそうではない。

そうやってさつきに背中を支えられて戻ってきた人間の中には、勘違いしてさつきに恋愛感情を抱く人間が多かった。

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