黒子のバスケ

君がいないと生きられない
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部活が終わった後、着替えを終えたさつきの前に男子更衣室から出てきた青峰が立っていた。
「さつき、帰るぞ。」
青峰に声をかけられ、さつきはハッと我に返る。
「へへ、教室に忘れ物しちゃった。
取って来るから大ちゃんは先に帰ってていいよ、じゃあね!」
さつきは青峰の返事も聞かず、一目散に走り出していた。

階段を駆け上がり、二階の踊り場で息をつく。

『エースが怪我したら困るよね?』
というプリントアウトされた手紙と共に、さつきと青峰が一緒に登校する写真がさつきの下駄箱に入っていたのは、一週間前だった。
差出人は不明。

でもその二週間前から、さつきはさつき自身への好意を訴える手紙を毎日もらっていた。
差出人不明のその手紙にどう返事をしていいか分からないまま、いつもと変わらない日々を過ごしていたら、
『どうしてオレの気持ちを分かってくれないんだ?!』
という手紙が来た。

その翌日、青峰と自分が一緒に登校してる写真が送られてきたのだ。
このままだとこの手紙の差出人は青峰に危害を加える可能性がある、そう思ったさつきは青峰と距離を取ることにした。

だけど、翌日は黄瀬とさつきが一緒に部活に行こうとして並んで歩いている写真に
『モデルは顔が大事だよね?』
という手紙が添えられて送られてきた。

その翌日は、大量の洗濯物を抱えた自分を紫原が手伝ってくれた時の写真に
『センターがいなくなったら困るよね?』
という手紙が。

その翌日には
『左手に怪我をしたら困るよね?』
という手紙に緑間と自分が一緒に試合相手の学校に偵察に行った時の写真が添えられていた。

その翌日には黒子に抱きついてる自分の写真に
『幻のシックスマンがいなくなったら困るのかなぁ?』
という手紙が、さらにその翌日には赤司と二人でミーティングをしてる写真に
『この主将、優秀らしいね?』
と手紙が添えられて送られてきた。

みんなを危害を加えられたらどうしよう…そう思うとさつきは不安で怖くて堪らなかった。
自分が相手の好意に応えればいいのだろうが、相手は名乗ってこない。
名乗ってこない以上、だれだか分からないし。

どうしたらいいの?
最近のさつきはそんな事ばかり考えている。
だけどいくら考えても分からない。

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