黒子のバスケ

笑顔を願う
2ページ/5ページ

そして青峰のそばにいて彼をサポートすると決めて、スポーツ心理学を専攻した彼女のマネージャーとしての分析力・調査力は高校の頃よりもさらに試合に役立つようになった。

関東選手権を控え、さつきは監督やコーチや赤司と打ち合わせをすることが増えていた。
選手達が練習を終えて帰る頃になっても赤司とさつきは共に残り、赤司がさつきを送っていくことが増えた。

青峰はさつきが終わるのを待っていようとしたけど、さつきが
「早く帰ってゆっくり休んで。」
とそれをよしとしなかった。

そのせいか、最近青峰の機嫌が悪い。

それを分かっていたからこそ、緑間は驚いていたのだ。

高尾に無理やり引っ張ってこられていやいや出席させらた合コンに、さつきが来ていたことに。


5対5の合コンだった。
高尾とは大学もバスケ部であることも同じだけれど、学部がちがう。
今日の合コンは緑間以外は高尾と同じ学部の人間しかいなかった。
よって緑間の知り合いは高尾のみのはずだった。
そして、高尾のいる学部は人文学部ではないはずだ。
なのにそこに人文学部のさつきがいることが不思議だった。

さつきは肩の大きく開いた七分袖のサマーセーターにショートパンツという姿で、待ち合わせ場所のレストランに他の女子たちと共に座っていた。

いやいやだったのを高尾に無理に引きずられてきたため、緑間と高尾は一番最後にレストランについて、中に入った時には三人の男達は他の女子とも会話をしながら、視線をさつきに向けていた。
それをひどく不愉快だと緑間は思った。

「おい高尾、これはなんの合コンなのだよ?
なんで桃井がいるのだよ?」
緑間は不愉快さを隠さずに高尾に聞く。

「あー…ごめん、真ちゃん。
オレの友達がどうしても桃井ちゃんと話したいっていってさ…それでセッティングされた合コンみたい。」
高尾は少しだけ申し訳なさそうにしている。

「は?!
何を言っているのだよ、桃井には青峰が…」

「青峰君、最近同じ体育学部の女の子と仲よくていつも一緒にいるんじゃん。
だから桃井ちゃんファンの男達は、今がチャンスだっていき込んでるよ。
バスケ部でも何人もの男が桃井ちゃんにアタックしてて、赤司君や黄瀬君や黒子君が睨み利かせてるじゃん。
だから合コンをセッティングしたみたいだよ。
桃井ちゃんと、怖い保護者に睨まれることなく仲良くなれるようにって。
気がついてないなんて真ちゃんサルなの?」
緑間はむっとして帰りたくなったが、さつきを放っておくわけに行かず、渋々テーブルに向う。

「高尾、遅い!
あ、本当に緑間さん連れて来てくれたんだ!
すいません、学部ちがうのに来てくれて感謝っス!」
幹事らしき男が立ち上がって緑間に頭を下げる。

その男の言葉にさつきは顔を上げて緑間を見た。
二人の視線がかっちりと合う。

「ミドリン…」
「関東選手権が控えているのにお前は何をしているのだよ。」
「ごめん…。」

席は、テーブルを挟んで男女に分かれているようで、男性側の席は二つ空いていた。
緑間と高尾の席だと思われたが緑間はさつきの腕を掴み立たせるとそのままさつきを引っ張って男性側の席のいちばんはしに座らせ、自分はそのとなりに座った。

「高尾はそっちに座るといいのだよ。」

「はいはーい。」

他の面子は緑間の行動に唖然としているが、高尾は気にすることもなく女子側の席に座る。

「どーもー、高尾和成です。
桃井ちゃんと真ちゃんと同じバスケ部ですー。
あ、ちなみに真ちゃんと桃井ちゃんは中学も同じで、一緒のバスケ部だったんだよ。
だから古くからの知り合いってことだね。」
高尾が明るい顔でしゃべり始めたので、周りもそれに飲まれてしまい、緑間の行動に誰も触れることができないまま、運ばれてきたビールで乾杯することになった。

女子としても、バスケで有名な上に医学部の緑間とお近づきになりたかったのだが、緑間はさつき以外は眼中にないと言った感じで、さつきとお近づきになりたかった男子も、さつきを独占してる緑間に何も言える状態じゃなかった。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ