黒子のバスケ

□好みのタイプ=誰?
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「この間受けた月バスの取材がのったものが、編集社から送られてきたのだよ。」

青峰が部室に入ったと同時に、先に部室に来ていたらしい緑間がそう言って、机の上にある月バスを指差した。

「ああ、そういやそんなん受けたっけ?」

「そんなのより、まいう棒でも送ってくれればいいのにー。」
ポテチトップスを食べながら紫原が言う。

「青峰っち、写真大きいっスよ。」
黄瀬が緑間が指差した月バスのページを捲くり、声をあげた。

『帝光中学キセキの世代特集』と書かれたページの最初には、青峰がボールを持って跳躍してる写真がでかでかと載っている。

「すげぇっス、羨ましいっス!」
興奮していた黄瀬に
「青峰くん、本当にすごいですね。」
と相槌を打ったのは黒子で、部室にいた緑間も紫原も黄瀬も青峰もいつの間にかきた黒子に驚いている。
「テツ、いつ入ってきた?」
「さっきからここにいましたよ。」
「そっか。」
青峰はそのままブレザーを脱いで着替え始める。

自分がでかでかと載った月バスには興味がなさそうだった。

「あれ、青峰っち。
これ、この質問の回答…青峰っち、これって桃っちのことっスか?」
が、黄瀬が素っ頓狂な声を上げたので、青峰はもちろん、その場にいた全員が月バスを覗き込むことになる。

「桃井のことってなんなのだよ?」
ページを覗き込んでもよく分からない緑間と、それに頷いてる紫原に黄瀬が指をさす。

そこには
『青峰君に10の質問』
と書いてある。

そういや自分たちもそんな質問をされたなー、そんなことを考えながらじっくりと質問を見ていくメンバーの目は、ある質問で止まった。


『Q7 好きな女性のタイプは?
A おっぱいがでかい子』


全員しばしその質問を見つめたあと、視線を青峰に移す。

「なんか意外ですね、青峰くんがそんなことを考えていたなんて。」
青峰の相棒・黒子テツヤは本当に驚いたというような顔をしている。

「なんでこれがさっちんのことになるのー?」
首を傾げる紫原に
「いやだって桃っちの胸…」
言いかけた黄瀬が口をつぐんだ。
青峰から、なにかものすごい怒りオーラが出ている。

「お前さつきのことそんな風にみてたのか?!」

「ちちちちがうっス!」
黄瀬は慌てて首を振る。

「青峰が桃井をそんな風にみていたことの方が驚くのだよ。」

「別にそんなんじゃねーよ!!」

「確かに桃井さんは綺麗ですし、スタイルもいいですし、性格もいいですし、男子から人気ですからね。
この間も三軍の練習試合に、一年生のマネージャーだけじゃ不安だろうからと付いて行ってましたからね。」
黒子の言葉に黄瀬が頷いた。

「それ、俺も聞いたっスよ。
三軍の選手、一軍に上がれば桃っちと一緒に居られるってすっげぇ気合入ってるって話っス。」

「そうなんだー。
さっちん、なんかおいしそうだもんねー。」
なんか本当にさつきを食べてしまいそうな紫原の言葉に全員が顔を強張らせた時、

「ちょっと、いつまでフロアにでないつもりなの?!
もう練習始まるよ!
赤司くんが部長会で遅れてくるからって気を抜いてたら怒られるよ?!」
部室にさつきが飛び込んできた。

そういえばすっかり話し込んでいて、時間が経つのも忘れていた。
全員がさつきを見て、その視線にさつきは驚く。
青峰以外の全員が食い入るように自分を見ているからだ。

「え?
なに…?
私、何か変なこと言った?」

ちょっと怯えたようなさつきの胸にみんなの視線が集中してることに気がついた青峰は思わず叫んでいた。

「ちげーよ!
おっぱいがでかいからさつきを好きなんじゃねぇよ!
さつきがおっぱいがでかいから、おっぱいがでかい子が好きなんだよ!
さつきのおっぱいがちっさかったら、ちっさいおっぱいの子が好きなんだよ!」

「……お前は本当にバカなのだよ。」
長い沈黙のあと、緑間の呟きで全員が自分を取り戻す。

「それなら好みのタイプ=桃っちでいいじゃないっスか。」

「そうだねー。」

「というか、それより青峰くん、桃井さんに謝った方がいいのではないでしょうか?
そういう話は人がいるところではなく、誰もいないところでこっそりとするものでしょう。」

黒子の言葉に全員がハッとしてさつきを見た。

さつきは羞恥で顔を赤く染め、わなわなと震えながら青峰を見ていた。

「待て、さつき!
俺ははめられ…」

「青峰くんのばかっ!!
アホ峰っ!!
このガングロクロスケ!
もう、知らないっ!」

さつきはジャージの上着を脱いで青峰に向って投げつけた。
Tシャツだけになってさらに目立つ胸にその場の全員はもちろん、ジャージを投げつけられたにも関わらず青峰まで視線が釘付けになったことなど知らず、ずかずかと部室を出ていったさつきを青峰が追いかけ、なんとか誤解を解いて仲直りするのはもう少し後のことになる。

END

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