銀魂

□幸せのヌクモリ
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高杉が柳生家に九兵衛と陽一と戻って13年。
陽一はもう15才になっていた。

高杉は現在、柳生流の道場の仕事よりも太政大臣になっている輿矩の補佐をすることの方が多い。
今日も輿矩の代わりに政府関連のパーティに出席する必要があり、家族同伴でとのことだったので九兵衛と陽一を同伴してパーティに出席した。
陽一にもわざわざスーツを作り、九兵衛には訪問着を仕立てて三人で出席したパーティの帰り道のことだった。

パーティ会場は家から近かったので車を断り、三人は歩いて帰っていた。

ふっと会話が途切れた時のこと。
「鬼兵隊って知ってますか、父上。」
陽一が真剣な顔で切り出した。

「祭りで上様を襲おうとカラクリ技師を操ったり、紅桜という武器を大量生産しようとしたり、真選組内に動乱を招いたり色々と世間を混乱させた鬼兵隊を、父上はご存知ですか?」

陽一の質問に高杉と九兵衛は答えに詰まった。
どうして陽一が鬼兵隊の事を知ってるのか、二人がまず疑問に思ったのはそれ。

そして陽一の表情から陽一が高杉に質問してるにもかかわらず、高杉がその鬼兵隊のトップである事をすでに知っているんだとも思う。

確かに鬼兵隊が殺してきた人の人数は多いし、にもかかわらず新政府の要職についてる高杉を恨んでいる人がいることも分かっている。
そういう人がきっと今日のパーティにいて、陽一にそのことを教えたのだと思う。

なんと答えていいか分からない九兵衛と違い、答えに詰まっていたはずの高杉は穏やかな口調で陽一に言った。

「ああ、知ってる。
鬼兵隊を率いていたのは俺だからな。」

陽一の目が極限まで見開かれる。

「晋助っ、そんなことこんなところで…陽一、家に帰って…」
そんな陽一を見て慌てて九兵衛が二人の間に入って言った時
「父上の人殺しっ!!」
陽一が高杉に向って叫ぶと走り出した。

「待ちなさい!
陽一!」
九兵衛は着物の袂を押さえ、陽一を追いかけていく。

その二人の後姿を見て、高杉は
「くそっ…!」
と小さく呟いた。
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