銀魂

□その手に愛を
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九兵衛はあたりをきょろきょろ見回す。
誰もいないことを確認して、柳生家の庭の塀に手をかける。
そして飛び上がった。
九兵衛の小柄な体がふわりと空に浮いて塀を飛び越えていた。

「久しぶりに妙ちゃんに会いに行こう。」
上機嫌で歩き始めようとした九兵衛は
「おい、てめえの考える事がこっちにわかんねーとでも思ってたのか?」
と声をかけられ、顔を顰めて振り返る。

そこにいたのはタバコをくわえて不機嫌さを隠そうともしない真選組副長・土方十四郎。

「本当にいやな男だな、君は。」
「なんとでも言え。
それでも俺はお前に危険な目にはあって欲しくねぇ。
戻るぞ。」
九兵衛の上着の袖を掴んで引きずっていく土方の広い背中を見ながら、九兵衛はなんでかは分からないけどふいに泣きたくなった。
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