銀魂
□一日警察庁長官
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九兵衛の真選組・見廻組一日局長は評判がよかったので、松平がそれならいっちょ、一日警察庁長官もやってみねぇかと言ったところ、まじめな九兵衛はそれを承諾してしまったという事だった。
さすが柳生家に仕える次期当主といったところか…柳生家のためなら、上からの命は聞くようだ。
だけどそれで危険な目に二度もあってるのに学習しないんだろうか…そう思った総悟は、松平が
「一応なんかあったら困るから、真選組と見廻組から三人づつ九兵衛の護衛出して。」
と言ったので、九兵衛の護衛に志願した。
とはいえ、一日警察庁長官は、ほとんどが長官室での書類への判を押しだけだ。
どちらかというとマスコミに対するアピールが主なので、今も九兵衛は長官室の大きな机の前で座って松平と共に書類に目を通し、判を押しているだけだった。
今まで一番、安心できて安全な仕事だ、内心よろこんでいた総悟の喜びはすぐに打ち砕かれることになる。
「緊急入電、緊急入電。
央国星大使館にて立てこもり事件が発生。」
警察庁内に、事件を知らせる声が響き渡ったからだ。
「っつたく、こんな時にばっかり事件起こしやがって、悪ガキどもが。
九兵衛、現場に行くだけ行くぞ。
見廻組は九兵衛の身辺警護、真選組は今回の事件の指揮を任せる。
トシ、責任者お前な。」
九兵衛の身辺警護には見廻組から隊長が三人、真選組からは土方と原田と総悟がきていた。
松平も九兵衛と共に自ら現場に向うようだ。
土方はため息をつく。
九兵衛が真選組と見廻組の一日局長をやったときの様に危険な目にあうことはないとは思うが、九兵衛は総悟にとって大事な存在だ。
あの総悟が九兵衛を本気で大切にしているのは土方にも分かる。
だから総悟が暴走しないように、何事もなければいい、土方は心底そう思っていたのだが、なんだか嫌な予感がして仕方なかった。