銀魂

□神様からのプレゼント
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それは10月に入ったばかりの頃だった。
万事屋の仕事が終わった銀時と、出稽古が終わった九兵衛は時間が合ったからという理由で一緒に居た。


男嫌いだったはずの九兵衛だが、銀時に触られるのだけは平気だった。
それで東城は銀時を利用して九兵衛の男嫌いを治そうと画策し、やたらと九兵衛と銀時を一緒に居させようとしたのだ。

しかし、それが東城にとっては裏目にでた。
銀時も九兵衛も、一緒にいる時間が長くなり、お互いを知れば知るほど、お互いに惹かれていってしまった。

その結果、九兵衛の男嫌いは中途半端に治ったまま、銀時と付き合い始めてしまった。

東城はそれを知った時には泣いて騒ぎ、北大路と西野と南戸になだめられた。
「若の男嫌いが治ったからって、若があんたのこと好きになるわけじゃねーし。」
との南戸の言葉にさすがに刀を抜いたが、
「でも本当でしょ?!」
と言われ、まぁ確かにそうだと思ったら、妙に納得してしまい、東城も九兵衛と銀時の付き合いを認めるようになった。

唯一にして最大の邪魔者が認めてくれたことで、二人の交際は順調にすすんでいた。


そんな中、での10月に入ったばかりのデート。
出稽古の帰りだったから九兵衛は道着に竹刀を担ぎ、腰には真剣をさしていたけど、その姿が逆に凛々しくて美しいと銀時は思った。

なのに自分に
「今日は会えると思わなかったから、会えて嬉しい。
甘味屋でも行くか。」
と笑いかける顔は可愛らしくて、ふいに銀時はなんでこんな子が自分みたいなダメな男と付き合ってるんだろうと思う。

東城は論外だけど、彼女の周りにはそれこそ幕府に仕える名家のエリートでイケメンな男がごろごろ居るはずだ。
なのになんで自分なんだろう?
たまたま触れられただけで、それを恋と勘違いしてるんじゃないだろうか?
そんな考えが頭を掠め、銀時は急に不安になる。
急に彼女の目が覚めて、他の男を選んだらどうしよう?

そんな事を考えたら辛くなって、だから九兵衛に
「何か欲しいものはないか?」
と聞かれた時に
「金。」
と答えてしまった。
金さえたくさんあれば、自分でも柳生家とも釣り合えるんじゃないか、そう思ったのだ。

「いや、そういうものじゃなくて…」
「じゃ、権力。」
そう答えたら九兵衛は
「ふざけてないで真面目に答えろ!」
と怒ったけど、
「銀さんはいたって真面目ですー。
金か権力、それがものすごく欲しい。」
と言ったら
「銀時はそういう男じゃないと思ったのに。
見損なったよ。」

九兵衛は銀時を見つめ、静かにそれだけ告げて足早に去っていった。

何が悪かったのか分からない銀時は呆然としてしまい、九兵衛を追いかけることもできず、ただその背中を見送った。
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