銀魂

□万事屋学院高校の部活動
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銀時とあやめは理事長室のお登勢の前に立っていた。
タバコの煙を吐き出したお登勢は二人を睨みつける。

「なんで呼ばれたかはわかってんだろ?」

「わかりません。」

即答のあやめをお登勢は呆れたようにみて銀時に視線を移す。

「アンタはわかってんだろ?」

「あー、まぁ。
こいつと俺の関係だよなー。
付き合ってないけど、学内での態度がよくないってことだろ?
生徒?親?どっちからの苦情?」
銀時は頭をぼりぼりかいた。

「親だよ、親!
生徒がお前らの関係なんか気にするわけないだろうが。
でも親はそうはいかないよ。
教師が学院内でベタベタしてるのは男子校だからこそよくないって苦情がPTAからきてるよ。
それに猿飛、あんた分かってんだろ、銀時は既婚者だよ。
こういうことを続けるつもりなら承知しないよ。
九兵衛はこの学院でそれなりの結果を出してる。
剣道部は関東大会本選出場も決めてるし、3年1組の生徒の成績も上がってる。
高杉・近藤・沖田の三バカの成績すら上げたからね。
それが坂本と服部より九兵衛の努力の結果っていうのは誰にでも分かる。
学院としてあんたと九兵衛、どっちを選ぶか分かるはずだよ。」

お登勢の言葉にあやめもさすがに
「わかりました、すみません。」
と言うしかなかった。

「わかったらとっとといきな!」
お登勢の言葉に二人は失礼しましたといって理事長室を出て行く。

「あのさー、もういいよな?
俺もさすがにクビは困るし。」
銀時は理事長室を出るとあやめにそう言う。

「……私の時間はもう戻ってこないわ。」 
うつむいてそういうあやめに銀時は何も言えなかった。

でも、自分と九兵衛の仲だって少しづつだけど確実に悪くなってる。

自分があやめと食事に行ったりすることが増えたせいか、九兵衛も同僚教師や剣道部の生徒たちと一緒に食事に行ったり、実家に帰ってしまうこともある。

昨日だって、あやめと食事をして家に帰ったら九兵衛はいなくて、携帯に電話したら
『実家に食事をしにいったんだけど、珍しくおじい様がいるから今日は泊まっていく。
剣の稽古をつけてもらうんだ。』
と言われてしまった。

九兵衛の祖父は九兵衛に剣道を教えた師匠でもあるのだ。

結局銀時は一人で入浴して、一人でビールを飲んで、一人で寝た。
一人で起きて、一人で苺牛乳を飲んで、学校に出勤してきた。


九兵衛はもうすでに学校に来ていて、登校当番を近藤・土方・沖田とこなしていた。

服は昨日着ていたものとは違い、薄いブルーの半そでのカットソーに濃紺のタイトスカートを履いていた。
でも、カットソーは体にフィットしたもので、タイトスカートも丈は膝丈だったが両サイドにスリットが入っていた。

最近の九兵衛は体のラインを強調した服が多い気がする。
球技大会の後、生徒たちと打ち上げに行って帰ってきた日にケンカしてから、そういう服を着ることが多くなった。
そして銀時の
『そんな服は着ちゃだめでしょ!』
という注意は全然聞いてくれなかった。

銀時はそれをどうして他の男に九ちゃんのそんな姿を見てほしくないという俺の気持ちを分かってくれないのと思い、九兵衛は猿飛さんみたいに女らしくなろうとしてるのに似合わないからってそんな言い肩しなくてもいいのにと思って、二人の気持ちはすれ違ったままだ。

すれ違ったまま、九兵衛は実家に帰る回数が増えて、銀時はあやめに自宅を知られないように平日は一緒に食事に行くことも増えて、二人一緒にいる時間がどんどん減っている。

どうしたらいいだろう、そう悩んでいる時にお登勢にあやめと一緒に呼び出され、こんな注意を受けてしまった。
これを機にこんなことはやめてしまいたいのだが…。

でもあやめを傷つけたのも事実だ。
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