銀魂

□溢れるほどの幸せをVer.銀魂
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三人で食事をし、式の話などをした後、バーに飲みに行ってから三人は帰宅することにした。

桂と九兵衛は家が隣同士だ。
だから銀時は九兵衛を自宅に送らず、桂に任せて帰っていった。
そして二人は並んで歩いていた。

「ねぇ、小太郎。」
隣を歩いていた九兵衛に名前を呼ばれて桂は九兵衛を見た。
九兵衛も桂を見上げている。

「どうした?」

「僕、ずっと小太郎のことが好きだった。
小太郎が僕を妹みたいにしか思っていないことは分かってたけど、それでも僕は小太郎が好きだった。」

九兵衛の言葉に驚いて、桂は九兵衛を目を見開いて見つめることしかできない。

「やっぱり驚いたよね。
だけど本当に小太郎が好きだった。
だから結婚前にちゃんと伝えておきたかった。
僕が小太郎を本当に好きだったこと。
今は、それ以上に銀時を愛しているけどね。
だから小太郎も、はやくいい人見つけて幸せになってね。」

自分を見上げる九兵衛の右目が潤んでいる。

俺もお前を好きだったー喉元まででかかった言葉を桂は飲み込んだ。
もう、遅いのだ。
もっと早く自分の気持ちを伝えていたら、九兵衛と結婚していたのは自分だったかもしれない。
だけど、自分は九兵衛に自分の気持ちを伝えなかった。
銀時は気持ちを伝えた。

今更伝えてももう遅い。
物事にはタイミングがある。
自分たちは、こうしてすれ違う運命だったんだろう。

「いつもね、あのハナミズキを見るたびに思ってたんだ。
小太郎に好きだって伝える勇気が欲しいって。」
九兵衛がそう言って指差したのは自宅近くの街路樹だった。
薄いピンク色の花をつけている木。

「ハナミズキっていうんだ、あの木。
花言葉は私の想いを受け入れてください。
でも、言葉で伝えなくちゃ何も伝わらないんだって、銀時と出会って知ったんだ。
銀時は僕に好きだって言葉にして言ってくれた。
だからこれからは、ちゃんと銀時に好きだって伝えながら銀時と生きていく。
でも、小太郎は僕の初恋だったよ。」

「そうか。
だったら幸せになれ。
幸せになってくれよ。」
桂は九兵衛をそっと抱きしめた。

「お前が大事だ。
だから絶対に幸せになるんだぞ。」

「うん、ありがと。」

私の想いを受け入れてください、自分も九兵衛に対してずっとそう思ってたけど、その願いはもう叶わない。

だから、その代わりにたくさん祈ろう。
彼女が銀時と幸せになってくれるようにと。
自分が愛し続けた九兵衛が、幸せな人生を歩むことができるようにと。

END
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