銀魂

□若奥様は高校生
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「ねぇ起きて。
起きて、トシくん!
今日、学校なんでしょ?
補習するんでしょ?」

軽く揺さぶられて目が覚めた。
俺の目の前には九兵衛がいる。

「ご飯できてるよ、早くしないと遅刻するよ?」
そう言う九兵衛の腕を掴んで引っ張ったら、九兵衛は俺の上に倒れこんできた。

「ちょ…」
「おはよう。」
キスをしたら、九兵衛もそれ以上は何も言わずに俺に抱きついてくる。

こういう時、俺は本当に幸せだなぁと思う。
16才の若妻だもんなぁ。
しかも、昔からずっと俺一筋でいてくれたんだもんな。

「ねぇ、ずっとこうしてたいけど、遅刻しちゃうよ?
今日は三年生の補習があるんでしょ?
もし遅刻したら、松平先生に叱られちゃうんじゃない?」

九兵衛の言葉に俺は現実に戻って九兵衛を離すと起き上がった。
「そうだった。
ちっ、土曜日に休日出勤なんてついてねぇ。」

そうだった、今日は土曜日で学校は休みだが、三年生の出席日数の足りない生徒のための補習がある。
休日出勤ってだけでもあれなのに、今日は俺の誕生日。
九兵衛と朝からずっと二人で過ごしたかった。
だけど誕生日なのに…という言葉は飲み込む。
誕生日を祝ってもらうのを催促してるみたいで、意地汚いかと思ったからだ。

「頑張ってね。
お弁当も作ってあるよ。
帰りは何時くらいになるの?」
九兵衛はそう言いながらクローゼットから俺の着替えを取り出す。

「そんなに遅くはなんねぇと思うけど、まだわかんねぇ。」

「昨日も言ったけど僕も出かけるから、帰る時にメールか電話してね?」

九兵衛は俺に着替えを渡してくれた。

「ああ、そういやそんな事言ってたな。」

昨日、後片付けをしながら九兵衛がさりげなくそんなこと言ってた気がする。
さりげないから軽く流しちまって、詳しくは聞いてなかったけど。

「誰と、どこに買い物に行くんだ?」
俺は着替えを受け取って立ちあがると九兵衛に聞いた。

「沖田先輩と一緒に買い物に。
男子部テーピングとかの備品が足りないって言ってなかった?
女子部も足りないから買いに行こうと思ってたから、一緒に行こうって言われてちょうどいいかなって。」

「ハァァァ?!
なんで総悟と!!」
俺は思わず叫んでいた。

「僕も沖田先輩も主将だからでしょ。
マネージャーがいてくれるような部じゃないし。
ねぇ本当に早くしないと遅れるよ?
ご飯も冷める。」

九兵衛はそう言うと部屋を出て行く。
部屋に残された俺は憮然としてしまった。

なんでよりによって俺の誕生日に、総悟となんか出かけるんだよ?!
お前、俺の嫁だろうが!
総悟はお前に気があるんだぞ!
そういうヤツと二人で買い物に行くってどうなの?!

そう思ったけど、それは言えなかった。
10才も年上なんだ、余裕のないところをこいつには見せたくねぇ。
俺は脱いだTシャツをベッドに叩き付ける。
そうは思っても、むかつきは消えなかった。
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