銀魂

□誕生日の夜に咲く花
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翌日の営業日は20日だったので、客の方も気合が入っていたのか、酒の注文がハンパなかった。
シャンパンタワーも3回あって設置もめんどくさかったし、店が終わった時、九兵衛さんはさすがに酔っ払ってた。

「九兵衛、タクシー呼んだから今日は先に帰りなさい。」
さすがにオーナーもそう言って九兵衛さんを気遣う。

「そーするー。
もうだめー、くらくらするー。」
「総悟、九兵衛を送って行って下さい。」
オーナーは酔っ払った九兵衛さんを見て沖田さんにそう告げた。
「分かりやした。」

こういう時、オーナーは大体沖田さんに九兵衛さんを頼む。
二人は年齢が同じで幼馴染だということもあるんだろう。
確かに俺から見ても、九兵衛さんと沖田さんは特に仲がいいと思う。

「立てますかィ?」
「むりー。
総悟ぉ、だっこぉ…」
九兵衛さんは沖田さんに向って手を伸ばす。

それは九兵衛さんを女だと分かってる人にはドキドキするほど可愛らしい仕草で、男と思ってるヘルプホストも
「やべぇ、九兵衛さん普段はかっけーのにちょっと可愛い…。」
「いや、あれはかなりだろ…。」
とこそこそ囁きあうほどの破壊力だった。

「はいはい。」
沖田さんはそれをさらっと受け入れて九兵衛さんを抱き上げる。

「んじゃお先に〜。」
そう言って沖田さんは九兵衛さんを抱き上げて帰っていった。


沖田さんに対する嫉妬で胸が苦しくなるほどだったけど、日曜には会えるんだから我慢だ我慢、そう自分に言い聞かせていた俺だが、土曜日の夜、九兵衛さんは店に遅刻してきた。

二日酔いが辛くて、起き上がれなくてどうにもならなかったらしい。
0時過ぎにようやく出勤してきた九兵衛さんから

『ごめんねトシくん。
今日、二日酔いで昼間お兄ちゃん達とするはずだった僕の誕生パーティが出来なくなっちゃって、明日することになっちゃたの。
だから明日は出かけられそうもないの。
でもせっかく会う約束したんだからトシくんも家に来ない?』

とメールが来て、会えないよりは…と俺は結局、九兵衛さんと二人きりで会うことは諦めて高杉さんたち邪魔者…じゃねーや、ライバルもいるであろう九兵衛さんの誕生パーティに行くことになってしまった。
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