銀魂

□最後の浮気
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ここ一ヶ月ほど、総悟の帰りは遅い。
そして、必ず香水の香りをさせて家に帰ってきている。
隊服のシャツにファンデーションや口紅が付いていたこともある。
もしかしたら、他に好きな人ができたんじゃないか…九兵衛はそんな不安を拭えなかった。

1才になったばかりの総司は最近後追いが酷く、九兵衛から離れない。
九兵衛はそんな総司につきっきりだった。
もしかしたら、そのせいで総悟は九兵衛に愛想を付かしたんじゃないか、九兵衛はそう思うと不安で仕方なかった。

「お風呂入るなら、着替え持ってくるね。」
「ああ、ありがと。」
総悟は隊服のままバスルームに向かう。
その背中を見送って九兵衛は総悟の部屋に行って着替えを選び、バスルームに戻った。

総悟はもう浴室に入っていて、脱衣所には総悟の脱いだ隊服が無造作においてあった。
九兵衛はそれを手に取った。
隊服のズボンと上着とベストはクリーニングに出すが、シャツは九兵衛が洗濯してアイロンをかけてる。
シャツの袖口と襟は専用の洗剤をつけて手洗いをしてから洗濯機で洗っている。
総悟のシャツを手にとって洗おうとして、九兵衛は凍りついた。

シャツの胸元にコーラルオレンジの口紅が付いていた。
帰ってきた時にはスカーフをつけていたから気が付かなかったのだ。

シャツを持つ九兵衛の手が震える。
漏れそうになる嗚咽と涙を九兵衛は唇を噛み締めて堪えていた。
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