銀魂

□副長の威厳
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土方は携帯とその長屋をよく見比べた。

携帯の液晶には九兵衛から来たメールが表示されている。
そのメールに書いてある住所と、今自分のいる場所の住所は一致してるはずだが…。
こんな長屋に本当に九兵衛が暮らしているんだろうか?

『先日の忘年会で銀時が色々やらかした。
それに妙ちゃんたちが怒って、銀時を懲らしめるためにちょっと芝居をすることになったんだ。
それで銀時と同棲することになったけど、同棲するのは六人だし、演技だから何もないから心配しないで。
一応、住所を教えておきます。』
というメールの後に長屋の住所が書いてあった。

いくら万事屋を懲らしめるためとはいえ、しかも相手が六人もいるとはいえ、同棲なんてありえない。
それで心配で仕事が手に付かなくなった土方は、こっそり様子を見に来ていた。

そこはとてもじゃないけど、柳生家の跡取りが住むような場所に思えなかった。
そして気になって長屋に来たはいいけど、この後どうしていいか分からない土方はその場にただ佇んでいた。

九兵衛自身は、店の修理費くらい大したことないらしく、銀時を懲らしめるよりも自分が全額払うと言ったらしいが、他のメンバーはそれでは気がすまなかったらしい。
そして、九兵衛が妙のいうことをつっぱねることが出来るはずもなく…結局は押し切られる形で、今回のこのドッキリに参加することを結局は了承してしまった。

土方は九兵衛と付き合っている。
土方は九兵衛の彼氏で、九兵衛は土方の彼女だ。
けど、鬼の副長と内外から恐れられてる自分が年下の九兵衛にほれ込んでいるなんて他のやつらに知られたくなくて、付き合ってることは内密にしていた。

だから妙ももちろん、九兵衛と自分の関係を知らず…知ってたらこんなことに引っ張り込もうとしなかっただろう。

自分達の関係を内密にしておくんじゃなかったと土方は後悔しながらその長屋を見つめていた。
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