銀魂

□FINAL DISTANCE
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ここ最近、屯所に真選組に対する脅迫状がいくつか届いていた。

だから、セレブのパーティとやらに出た帰りにドレスを着たまま屯所に寄った九兵衛に俺は早く帰れと言った。
本当は、九兵衛が始めて着たであろうドレス姿を俺に見せたくて屯所に俺を訪ねてきたのは分かってた。
分かってたけど、俺は綺麗だって言ってやれなかった。

「今、攘夷浪士の動きが活発だから屯所にはくんなって言ってんだろ。
危ないから早く帰れ。」
そう言って追い返してしまった。
俺は最近仕事が忙しくて九兵衛と会う時間を取れなくて、本当は九兵衛が会いにきてくれたのが嬉しかった。
嬉しかったのに、九兵衛の事が心配だったからあえて冷たく突き放した。

最近は屯所にも爆弾が投げ込まれたり、隊士たちが町で襲われたりしてるいる。
九兵衛と俺が付き合っているのは周知の事実の上に、柳生家は幕府に仕えている。
九兵衛が攘夷浪士に狙われても、おかしくはないんだ。

危険な目にあってほしくなかった。
危険な目にあわせたくなかった。
だから
「これからも、しばらく落ち着くまで屯所にはくんな。
必要なら俺が会いに行くから。」
と言ったんだ。

「……そんな事言って、一度も会いに来てくれた事ないよ。」
九兵衛はそう言ってうつむいた後、顔を上げた時は少し笑って
「分かった。
仕事、気をつけて。
待ってるから。」
と言ってくれた。

そう言って屯所を出て行ったはずの九兵衛が、左肩から血をだらだら流しながら意識を失った状態で近藤さんに抱き上げられて屯所に戻ってきたのを見た時、俺の顔から血の気が引いた。
「早く救急車!!
救急車をよべ!!」
近藤さんが怒鳴り、山崎が慌てて救急車を呼ぶ。
血の気のまったくない、ぴくりとも動かない九兵衛を俺は呆然と見ているしか出来なかった。
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