銀魂

□ノゾムモノ
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ホームルームが終わって担任の松平先生が教室を出て行ってすぐに顔を出したのは、高杉先生だった。
僕の心臓がドキッと音をたてる。
僕に用事があるわけじゃありませんように…。
そう願うけど、
「柳生、掃除が終わったら進路指導室に来い。」
高杉先生は僕の願いをあっさりと壊してそう告げてさっさと歩いていく。
「九ちゃん、最近は連日のように高杉先生に呼ばれてるけど、どうかしたの?」
妙ちゃんが心配そうに僕の顔を覗き込む。
「うん、進路の事で色々あるんだ。
おじいさまとか父上とかの意向もあるし、それでめちゃくちゃな事になってるんだよ。
高杉先生は進路指導の進学担当の先生だから心配してくれて、それで色々とね。」
僕がそう言ったら
「そうか、そうよね。
あのおじい様とお父様だもんね。
大変ね。
でも高杉先生が親身になってくれて本当によかったね。」
と妙ちゃんは笑った。
それを聞いてたクラスメートは僕の複雑な家庭の事情を知ってるせいか、
「掃除はいいから先生の所に行ってきなよ。
みんな一緒にきちんと進路決まってから卒業したいじゃない?」
と言ってくれて、僕は嘘をついてる罪悪感でいっぱいになった。

きちんと掃除は終えてから、無視して帰ってしまいたかったけどそういうわけにもいかずに生徒指導室に向かう。
「失礼します。」
そう声をかけて中に入ると、窓辺にたってる高杉先生がいた。
細身のスーツが似合ってるし、左目は眼帯で覆われてるけどかっこいいからファンも多い。
でも、僕はこの先生が苦手だ。
「鍵、かけろよ。」
高杉先生が振り返る。
「先生が、生徒にこんなことしていいと思ってるんですか?」
そう聞く僕の声は震えてて、なのに高杉先生は
「そんなこたァ、俺には関係ねェなァ。
教師だ生徒だ何てことより、俺がてめえを欲しいと思ってることの方が重要だ。」
ものすごく妖しげな笑みを浮かべて僕に近寄ってくる。
そして僕の顎の下に指を添える。
上を向かせられて、僕はどうにも出来なくて先生を見つめることしか出来ない。
「せんせ…」
こんなことやめて下さい…言いかけた言葉は先生の口中に吸い取られた。
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