過去拍手

□保護者じゃねぇ
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たくさんの邪魔者と本人の鈍感さを克服して、俺と九兵衛はやっと恋人同士になった。
俺と付き合いだしてからどんどん綺麗に、女らしくなっていく九兵衛をみて、
(俺のために綺麗になろうと努力してくれてるんだな)
とか思うと嬉しかった。
近藤さんに赤飯炊かれるほど、俺の機嫌はよかったらしい。
しかし、ここ最近の俺は機嫌がすこぶる悪い。
山崎が俺の前でのミントンを封印するほどだ。
その理由は、やっぱり九兵衛だ。
どんどん綺麗に女らしくなっても、以前は男として育てられ、剣の稽古に明け暮れていたんだ。
こいつは普通に町を歩いたことは無いんだろうかと思うくらい、ものを知らない。
小間物屋にいた客寄せ用の着ぐるみをあれがほしいと騒いだり、電車に乗ってみたいと騒いだり、ちょっと目を離したすきにナンパされて、俺がその男を睨んだら
「この人はだんごをおごってくれるといったのだぞ?
いい人なのになぜ睨むんだ!」
と怒ったり、恋人同士のはずなのにまるで保護者のようになってるこの関係に納得できねぇ!
それが俺の不機嫌の原因だ。
今も、どこぞのガキがメンコしてるところを真剣に見ていたと思ったら、
「土方くん、僕もあれがやりたいぞ!!」
とか言ってる。
俺は目をキラキラさせている九兵衛に
「おい、俺はお前の保護者じゃねぇぞ!
ガキの遊びがしたかったらあの糸目に相手してもらえ。」
と言っていた。
俺の言葉を聞いて九兵衛の顔が暗くなる。
言い過ぎた…そう思って
「あ、いや…」
とか言ってる俺に九兵衛が
「僕は君を保護者だなんて思ってないぞ?
僕は君が大好きだ!
だから手だってつなげるぞ!」
と言って俺の手をとる。
そして俺の指に自分の指を絡めてきた。
自分でも、馬鹿だなと思う。
たったの一言でこんなにうれしくなっちまう自分に呆れてしまう。
それでも…
「そんなのはなぁ、俺も同じだ。
何を今更!」
とか言って絡ませた指に力をこめるあたり、相当こいつに惚れている…と思う。

END

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