ONE PIECE倉庫

□最後の恋
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ビビは言った。
『ブシドー、あなたは私の初恋なの。』
と。
ビビは言った。
『あなたを本当に愛してるの。』
と。

それは俺も同じ。
だから今、ビビは俺の隣にいる。
俺に抱かれたあと、そのまま眠ってしまったビビの寝顔を俺は眺めることが出来る。
だけど、その寝顔を見ていると、いつまでこの日々が続くのだろうとも思う。

ビビはアラバスタっていう国の王女だ。
国を救いたくて戦う、一国の王女様だ。

一方の俺はただの海賊。
きっとビビは国を救う事が出来たら、俺たちと一緒に旅を続けることは選ばないだろう。
そもそも一国の王女が海賊と人生をともにすることができるはずがない。

俺はビビの最初の男になれたけど、最後の男にはなれない。
俺はビビを最後の女にしたいのに、おそらくその願いは叶うことはないだろう。

期間限定の、つかの間の恋人だ。
それは分かってる。
それでも俺はビビの全てが欲しい。

俺は隣で眠っているビビを見る。
あどけない顔をして寝ていて、犯罪結社に極秘で潜入してエージェントになった、実は一国の王女にはとてもじゃないが見えない。

こうしてると、ただの女でしかないのに。
ビビは俺の隣にいて、手を伸ばせば触れることが出来る位置にいるのに、すごく遠く感じる。
それは俺たちの関係がアラバスタにつくまでの、つかの間のものだと俺自身、分かっているからなんだろう。

分かっていってもなにも出来ない。

俺はただ、ビビのあどけない寝顔を見つめるしか出来なかった。
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