進撃の巨人
□愛してるのはお前だけ
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「お前が羨ましい。
きれいな人だな、ペトラさん。」
むすっとした顔をしてるエレンと一緒に玄関に向かっている途中でジャンは思わず口にしていた。
きれいな人だ。
なんとなくだけど、あの人は自分に好意を持っていてくれそうな気もする。
それに同じ班にあんな人がいたら訓練も頑張れるだろう。
エレンが羨ましい。
いつもこいつはそうだ。
ミカサもこいつを家族の様に大事思っている。
その時、急に胸倉をつかまれてジャンは目を丸くする。
解散式の夜と立場が違う。
あの時エレンの胸倉をつかんだのは自分だけれど、今、自分の胸倉をつかんでいるのは怒りに目をギラギラさせたエレンだった。
「ペトラさんに近づくな、絶対にだ。」
たとえ死んだ人間だろうとペトラさんが誰かを思うことは許せない。
その男に似ているジャンがペトラに近づく事も許せない。
オレが愛してるのはペトラさんだけだ。
だからペトラさんには誰よりもオレを愛して欲しい。
エレンはジャンが疎ましくて仕方なかった。
ジャンは感情をむき出しにしたエレンを呆然と見つめる事しかできなかった。