黒子のバスケ

今はまだ、このままで
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あの日は家の用事でさつきが部活が終わったらいつもは自主練も見ててくれるのにすぐに帰り、青峰も一人でさつきを帰すわけには行かないからと一緒に帰ってしまった。

「峰ちん、なんだかんだ言ってさっちんにはやさしーね。」
紫原がまいう棒を食べながら、なんだかんだいいつつ、さつきを心配している青峰のことを話し始めた。

黄瀬は紫原がぼろぼろとまいう棒のかすをこぼしてるのに気が付いて
「紫っち、かすこぼれてるっス。
それ、掃除しないと桃っちがまた泣くっスよ。」
と掃除用具入れを指差した。

さつきが自主練の時間も残っているときは最後に部室をチェックして、紫原がこぼしたお菓子のかすや青峰のグラビア、黄瀬が放置してる女の子からのプレゼントを片付けてくれるが、以前、今日の様にさつきが用事で帰ってしまって誰も部室のチェックをしなかった時があり、翌日、部室を開けたさつきがお菓子のかすに集まってきたらしい黒い虫に絶叫して泣き出した。

さつきと一緒に登校してた青峰と、ちょうど登校してきた赤司と緑間が、緑間のラッキーアイテムだったらしい殺虫剤で退治してて、黄瀬が登校してきた時はさつきが廊下で蹲ってる所だった。

涙目で震えていたさつきは可愛かった…じゃなくて…ああいうことはもう勘弁だ。
黄瀬もその話を聞いて、ちょっと部室に入りたくなくなったから。

「あの時の桃井の絶叫はすごかったのだよ。」

「ああ、そうだな。
それでもさつきは可愛いが。」

赤司の言葉に全員がフリーズした。
赤司の口から可愛いなんて言葉がでるなんて信じられなかったのだ。
紫原はまうい棒を落とし、緑間のめがねはずり下がり、黄瀬も唖然とし、黒子も呆然としている。

それくらい、赤司征十郎が女の子を可愛いということはありえなかったのだ。

「どうした、お前達?」

「いえ…赤司君が女子を可愛いというなんてなんか意外というか…」

一番に立ち直った黒子を見て赤司は笑う。

「もちろん、僕が可愛いと思うのはさつきだけだよ。」

「オレも、そう思うのだよ。」

黄瀬と黒子と紫原は口を半開きにして今度は緑間を見る。
緑間がそんなことを言うとは思わなかった。

だけど三人の驚きを気にせず、二人はにらみ合っていた。

思えばあの時から二人のさつきに対する態度はあからさまになったような気がする。

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