黒子のバスケ

君のためなら死んでもいい
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その後姿が見えなくなったところで赤司が口を開く。
さっきまでと違って、赤司からは怒りのせいか威圧感がばしばしと伝わってきて、帝光時代から赤司を知っている五人もたじろぐほどだったが、伊月は平然としていた。

「伊月さん。
僕たちがどれほどさつきを大事にしていたか、ご存知ですか?」
低い赤司の声に伊月は笑って頷いた。

「ああ、だからこれからはオレが君達の分もさつきを大事にするから安心して。」

「ふざけるな!
てめえみてーな男にどうやってさつきを守れるんだよ?!」

「そうなのだよ。」

「そうっスよ!」

「僕たちは、桃井さんを本当に大事にしていたんです。」

「赤ちん、こいつ捻り潰していい?」

「全員、少し黙っててくれないか。」
話し出した五人を制した赤司は
「とりあえず、僕たちと1ON1して下さい。
僕たち全員に1ON1で勝てないようでは、さつきをあなたに託すことはできません。」
と伊月を見据えた。

伊月は思わず噴出していた。

「冗談だろ?
キセキの世代全員と1ON1して勝てるわけがないだろ?
それに、そもそもなんでそんなことする必要があるんだよ?」

伊月の言葉に、六人は唖然としてしまう。
そんな六人の顔を見渡して、伊月は言った。

「お前らがオレたちの関係をどう思ってるかなんて興味もないし、そもそもオレにはお前たちの気持ちなんか関係ないよ。
さつきがオレを選んだ。
それが事実で、それが全て。
もっと現実見ろよ、オレに1ON1で勝てば、さつきがオレと別れるとでも思ってるのか?」

伊月の言葉に六人は何も言い返すことができなかった。

「っつたく、バスケしかやってこなかったから、大事なことはなんも知らないのな。
気持ちは伝えなきゃ伝わらないし、そうやって仲間内で牽制しあっててもどこから掻っ攫われるかわかんないってこと。
オレ、さつきのためなら死んでもいい。
本気で。
さつきもきっとオレと同じこというよ。
聞いてみれば?
それじゃオレ、さつき追っかけてくるな。
一人でスポーツドリンク買ってくるの大変だろうし。
君達の分もさつきを大事にするって今、約束したばかりだからな。」

伊月は唇を噛み締めている六人の顔をもう一度見渡して、にっと笑った。

そして、足早にさつきを追いかけていく。

しばらくは呆然とそれを見ていた六人だけど、赤司が携帯を取り出すと何かを打ち込んだ。

「赤司、何をしているのだよ?」

「さつきにメールした。
さつきは伊月さんをどう思っているんだ、彼のためなら死ねるのかって。
そう送った。」

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