黒子のバスケ

君が全て
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「紫っち、次は移動教室っスよ!」

休み時間にお菓子を食べていたら、同じクラスの黄瀬に急き立てられて、紫原は渋々、黄瀬と共に理科室に向う。

その途中、紫原が
「さっち〜ん!」
とさつきの名前を呼んだので、黄瀬はさつきの姿を探した。

「ムッくん!
きーちゃん!」

廊下の向こうから、体操着姿のさつきが友達と一緒に歩いてきていた。
いつもはのっそりと歩く紫原の歩く速度が早くなる。
さつきは今日はいつもと違い、髪をツインテールにしていた。
髪は下ろすか、ポニーテールのさつきの普段見ない髪型は新鮮で、可愛いと黄瀬は素直に思った。
そして、体操着姿になると、胸の大きいのも目立つ。
以前はさつきもジャージで部活に出ていたらしいが、ある日、赤司がこれからは制服で部活に出るようにと言ったらしい。
その理由はよく分かる。
自分たちも思春期のオトコノコ、なので。

「さっちんは次の時間は体育なの?」
紫原はさつきに近寄ると聞く。
「うん!
ムッくんたちは理科なの?」

ニコニコしてるさつきは可愛い。
廊下を行きかう男子たちはさつきの彼氏が紫原だと知っているし、その紫原とさつきが一緒にいると言うのに、それでもチラチラとさつきを見ている。
気持ちは分かるっスけどね。
黄瀬がそんなことを思った瞬間だった。

「さっちん、その髪型もかわいいねー。」
紫原がのんびりと言いながら、ぎゅっとさつきを抱きしめた。

「ムッくん苦しい…」
さつきはとても苦しそうだけど
「さっちん、可愛い。
可愛い。
もうオレ、さっちん大好き!
さっちんはオレのー。」
と言いながら、紫原はさつきを放そうとしない。

「うん、私はムッくんのだよ、でも苦しい…。」
さつきは本当に苦しそうにしている。

「あの、紫原君、さつきが本当に苦しそうにしてるよ…」
「次に授業に遅刻しちゃうよ…?」
見かねたらしいさつきの友達が止めて、さすがに女の子には紫原も強く出れないのか、さつきを離す。

と思ったらいきなりさつきの脇の下に手を入れ、さつきを抱き上げた。
「きゃっ…!」
いきなり抱え上げられ、思わず悲鳴を上げたさつきの唇に紫原はちゅっと音をたててキスをした。
周りが騒然とする中、紫原は何度もさつきの唇にキスを落とす。

「うん、さっちんはやっぱり可愛いな〜」
にこにこと笑いながら予鈴がなるまでさつきにキスを続ける紫原を見て、黄瀬は紫っちはオレが思ってたよりずっと、ずっと独占欲が強いんっスねと思った。

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