黒子のバスケ

部活対抗リレー
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運動会当日。

生徒数の多い帝光中は、部活リレーにも予選がある。
まずは予選を勝ち抜かないと本選には出れない。
今、まさに予選が始まろうとするところだった。

「バスケ部、第一走者・黄瀬涼太くん。
第二走者・黒子テツヤくん。
第三走者・青峰大輝くん。
第四走者・桃井さつきさん。
第五走者・緑間新太郎くん。
第六走者・紫原敦くん。
アンカー・赤司征十郎くん。」

走者が発表され、各部の第一走者がスタートラインに立つ。

「桃井さぁ〜んっ!
頑張れ〜!!」
校庭のあちこちから上がるさつき個人を応援する声に赤司が顔を顰めた。

「うるさいやつらだ。」
「赤ちん、オレ、捻り潰してきていい?」
「やめるのだよ。
それよりも、こっそりとカメラを構えているやつらを捻り潰してくるのだよ!」
「いや、撮った後のカメラを没収したほうが効率がいいぜ!」
「青峰君にしてはいい案ですね!」
こそこそと話す5人にさつきは
「何を話してるの?
もう始まるよ?」
と注意する。

(マジ女神!)
その姿を帝光中の男子全員がそう思ってみているだろう。
さつきは黒いタンクトップの上に赤司のユニフォームを着ていた。

一人だけTシャツじゃやはり目立つかもしれないと思い、ユニフォームの下に着ても目立たないタンクトップにしたのだ。
そして、ボトムは顧問がOBの残したものの中から小さいサイズのを見つけてきてくれて、それを着ている。

つまり、自分たちとまったく同じ格好をしているのだ。
髪はポニーテールをくるっと巻いておだんごにしている。

本当に可愛い、バスケ部の自慢のマネージャー。
しかし、いつか自分だけのものに!

全員が心に誓ってるうちにピストルがなって、第一走者が一斉にスタートした。

黄瀬と陸上部の生徒が、トップを競って走っている。
陸上部がややリードか。

そのまま第二走者の黒子がバトンを受け取ったけど、黒子はここで一気に順位を落とした。
しかし、7人中5位で青峰にバトンを繋ぐ。

青峰は一気に加速してぐんぐん走者を追い抜き、トップになった。

1位でさつきにバトンが渡る。
「……!!」
必死で走るさつきの胸が揺れている。

第五走者としてスタートラインで待つ生徒たちにはそれが正面から見えるのだから、全員がそこに釘付けになってしまう。

緑間もそれは一緒だったが、何かが視界できらりと光ったのに気が付いて自分を取り戻す。
さつきは差は縮められたものの、何とかトップをキープして緑間にバトンを渡した。

「ミドリン頑張って!」
「任せるのだよ!」

緑間は一気に差をつけて紫原にバトンを渡し、紫原はその驚異的な速さでさらに差を広げて赤司へバトンを繋ぎ、赤司はさらに差をつけて1位でゴールし、バスケ部は予選を簡単に突破した。


「桃井の次の走者はちょっと大変なのだよ…。」
「第五走者、みんな桃井さんをじっと見てましたね。」
「いや、第五走者だけじゃねぇっスよ。」
「うん、みんなさっちん見てた。」
「やっぱさつきに走者をさせたの間違えじゃね?
これ以上、あいつのファンの男を増やしてどうすんだよ!」

「僕が僕たち以外に桃井を触れさせるようなことをすると思っているのか?
桃井は僕たちのものだ。
不埒な輩は殺す。
任せておけ。
(そしていずれは僕だけのものに。)」

「赤司がそう言うのなら大丈夫なのだよ。
(そしていつか、オレだけの桃井になってもらうのだよ。)」

「そうだね、さすが赤ちん。
(でもさっちんはオレのだけど。)」

「やっぱり、赤司君はさすがです。
(でも桃井さんは僕のものです。)」

「さすがっス、赤司っち!
(そうやって頑張って害虫の駆除をして欲しいっス!
その間に桃っちはオレのものにするっス。)」

「頼むぜ、主将。
(さつきは二人きりの時は青峰君じゃなくて大ちゃん呼びなんだよ!
いつも一緒なのはオレだしな!)」

六人は赤司を褒め称えつつ、いつかさつきを手に入れることを心に誓う。

そんな六人の気持ちに気が付かず、
「本選も頑張ろうね!」
とはしゃいでるさつきは本当に可愛くて、六人は心の底から思っていた。

((((((マジ、女神が降臨した!
この女神様を、絶対に他の男の手から守らなければ!))))))
と。

END

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