黒子のバスケ

I love you forever
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「準備終わったか?」
火神に声をかけられて、さつきは顔を上げた。
「うん、終わったよ。」

「それにしてもおやじさん、よく許してくれたよな。
高校卒業したばっかのさつきを、アメリカに連れて行きたいなんて言ったのに。
オレ、殴られる覚悟してたんだぜ。」
火神は腕を伸ばすとさつきを抱き寄せた。


さつきが自分の想いを受け入れてくれたのは、あの日から数ヶ月が経った頃。

まぁ受け入れてもらえたらもらえたで
『僕たちの大事な桃井を攫っていくんだから、覚悟はできてるんだろうな?
僕たち全員と1ON1で勝ってみろ。』
とか赤司に言われて、キセキの世代全員と1ON1をさせられるし、公式戦では桐皇の選手にやたらと絡まれたりもしたが、その辺は触れないでおく。


とにかく、やたらとある障害をなんとか乗り越えて、自分たちは同じ時間を共用し、お互いの想いを深めてきたと思う。

だから高校三年生最後の夏、誕生日を迎え、18になったその日に火神はさつきに言った。

「オレはさつき以外はもういらない。
高校を卒業したらオレはアメリカに戻る。
あっちの大学でバスケしながらプロを目指す。
だからオレに付いてきてくれ。
火神になって。」

さつきは驚いていたけど
「私も大我以外はもういらないよ。」
と泣き笑いのような顔で返事をしてくれた。


それからがまた大変だった。
キセキの世代の連中との…以下略。
桐皇の選手やOBとの…以下略。

そして、アメリカから自身の父にも帰国してもらって、さつきの両親に結婚を前提にしてアメリカにさつきを連れて行きたい旨を話して…反対されるだろうと思っていたけど、さつきの両親は案外あっさりと
「さつきの人生なんだからさつきの好きなようにしなさい。」
と言ってくれて、明日、火神はさつきと共にアメリカに発つ。


「I love you forever.」
自分の腕の中のなにより大事なぬくもりに囁く。

さつきは、くすぐったそうに身をよじったあと、
「あなたのためなら私、死んでもかまわない。」
と呟いた。

「What?」

いきなりそんなことを呟かれ、驚いてる火神にさつきは言う。
「昔の日本の作家がね、I love youをそういう風に訳したの。
『あなたのためなら死んでもいい』って。
それくらい人を愛せるって素敵だよね。
私、そういう人に出会えてよかった。
大我に出会えて本当によかった。
死んでもかまわないと思うほど愛せる人に、大我に出会えてよかった。」

「オレもだ。
けど、オレのために死んでもかまわないと思うよりは、オレの隣で何が何でも一緒に生きてくれた方が嬉しい。」
「うん、そうだね。」

さつきの細い腕が火神の背中に回ってきつく抱きついてくる。

『あなたのためなら私、死んでもかまわない』
そこまで愛してくれる女に出会えたこと、その女を自分も同じように愛していること、そしてこれから先の長い人生を共に歩いていけることに火神は心の底から感謝してもう一度さつきの耳元に囁いた。

「I love you forever.」
永遠に、愛してるよ。

END

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