ONE PIECE倉庫

□あなたと共に
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「ブシドー!
ブシドー起きて?
あなたっ!」

強くゆさぶられて目が覚める。
部屋の中は薄暗く、そして自分は大きなベッドに寝ていて、そんな自分に
「どうしたの、悪い夢をみたの?
そんなに魘されて…」
と声を掛けてくれたのはビビだった。

ビビはベッドサイドの灯りをつけるとゾロの顔を覗き込む。
「すごい汗…。
お水飲む?
今、持ってくるわ。」

ベッドから出ようとしたビビの腕を、ゾロは掴んだ。
「どこにもいくな、そばにいてくれ。」
「どこにも行かないわ。
8年もの会えない期間を経て、やっとあなたと再会できたんですもの。
やっとあなたと結婚できたんだもの。」

そうだった、自分はあの別れから8年後、ようやく世界一の剣豪の称号を手に入れた。

世界一の称号を手に入れたゾロが真っ先にしたのはサニー号を降りて、アラバスタに行くことだった。

アラバスタでの戦いの後はバタバタとしていてビビとは全然話せなくて、話せないままにビビと別れる事になったけど、その後、ビビはメリー号のゾロ宛に手紙をよこしたのだ。
もしゾロが他の人を好きになったら教えて欲しいこと、その時はゾロを諦めること。
だけど、その知らせが来るまではずっとゾロを思い続けて、結婚もしないこと。
それをビビの父であるコブラ王も理解してくれたこと。
自分はそばにいないけどいつでもゾロを想ってる事と、ゾロが世界一の剣豪になることを祈ってることが書かれていた。

ゾロはその手紙に返事を書いた。
『ビビ以外の女を好きになるなんてありえないから、ずっと待ってろ。
俺の事をずっとずっと待ってろ。』

そして8年かけて世界一の剣豪になった時、すぐにアラバスタにビビに会いに行った。

アラバスタはあの反乱のあと、ものすごい速さで復興し、そして今では有数の大国になった。
砂漠の国が世界でも有数の豊かな大国になったことと、そしてそこの王女は美しいことで世界中から注目されている。
だが、お年頃のはずのアラバスタの王女は頑なに持ち込まれる結婚を断っていた。
王であるコブラも王女の意思を尊重していた。

それはゾロのため。

そうやってゾロを思い続けてくれた、8年ぶりにあうビビはすごく美しくなっていて、そしてビビはゾロを見るなり、泣きながらゾロに抱きついてきた。
「会いたかった、ずっとずっと会いたかった。」
そう言って。

それは自分ももちろん同じだった。
泣いてるビビを抱きしめながら、ゾロはビビに言ったのだ。

「王下七武海に入ることを承諾した。
だから、結婚しよう。
王下七武海になったんだから、アラバスタ王女と結婚しても問題ない。」

ゾロの言葉にビビはさすがにびっくりした。
王下七武海に入るということは、場合によってはルフィたちと敵対することもあるかもしれないということだ。
だけどゾロはそういうことも全て分かった上でそれでも王下七武海に入ることを選び、ルフィたちもゾロに
「ビビを幸せにしてやれよ!」
と言ってくれたそうだ。

そうして8年間の時を経て、二人は結婚した。
もう結婚して、ビビはずっと自分のそばにいるはずなのに、なんであんな夢を見たんだろう?

だけど、実は、ビビと離れてた8年の間に何度もこんな悪夢を見た。
8年は長かった。
自分のビビに対する気持ちは変わる事はない、そう思ったけどビビの気持ちが変わらないという確証は持てなくて、もう他に好きな男がいるんじゃないかとか、ビビは俺を待ってないんじゃないかとか、そんな風に思ってしまったことも何度もあった。
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