銀魂

□盛々様との逢瀬にて
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そこには、九兵衛の脱ぎ捨てた着物を頭からすっぽりと被った盛々様がいた。
九兵衛はしゃがみこむと着物を落とす。
着物の中から現れた盛々様は目に涙を浮かべていた。

「大丈夫でしたか、盛々様。
お怪我などはありませんか?」
「ない。」
盛々様はそう答え、涙をこぼさないように唇を噛み締めた。
「怖かったでしょうによく我慢なさいましたね。
偉かったですよ。」
九兵衛の言葉に盛々様は唇を噛み締めたまま、頷く。

しばらくしてやっと落ち着いたのか盛々様が口を開いた。
「どうしたら、お姉ちゃんが僕を守るんじゃなくて、僕がお姉ちゃんを守れるようになるの?」
「あなたは将軍家の方です。
そして僕は将軍家に仕える柳生家の次期当主。
あなたをお守りするのが僕の仕事です。
それに僕は誰かに守られなきゃならないほど、弱くはありません。」
九兵衛にきっぱりと言い切られても盛々様は
「でも僕は柳生のお姉ちゃんを守りたいんだよ!
守って、そして喜んでほしいんだ!」
と言い返す。

「盛々様が危ない目に合わないことが一番嬉しいです。
こうして着飾って出かけるよりも、盛々様が危険に巻き込まれることなく健やかにお育ちになってくださることが一番嬉しいのですよ。
ですから、これからは少し、お出かけは控えましょう。」
九兵衛の言葉に盛々様は唇を噛み締めて頷いた。
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