銀魂

□芽生えた気持ち
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「これ、昨日提出された風紀委員室のエアコンの修理申請書です。
一ヶ月前にも風紀委員室のエアコンは修理してるんですけど?
たった一ヶ月で壊れちゃうんですか?」
九兵衛はそう言って土方に申請書を差し出した。
「総悟がチャイナと喧嘩してその時に壊したんだよ!」
土方はエアコンを見上げる。
無残に割れているエアコンを見て九兵衛は顔を顰めた。
「エアコンの修理は無理だから。」
「はぁ?!
この残暑厳しい中、エアコンなしで活動しろって言うのかよ?!」
土方は思わず怒鳴ってしまう。
「生徒会室で昔使ってた古い扇風機があるから、それを風紀委員に贈呈してあげる。
けど風紀委員の今年度の予算はないから、修理は無理。
風紀委員はこれからは備品の申請は一切通りません。
だって、予算もうないんだもん。
委員長の近藤くんには一ヶ月前にエアコンを修理した時に説明したはずだけど?」
九兵衛は呆れ顔だ。
その顔がまた土方の怒りを煽る。
冷静に考えればそれは九兵衛にとっては理不尽な怒りで、予算がない以上は、申請が通らないのは仕方ないし、それなのに生徒会の扇風機をくれると最大限の譲歩をしてくれてるわけだけど、『あげる』という言い方もむかついた。
「予算がねぇなんて俺は聞いてねぇよ!!」
瞳孔を開いて怒鳴る土方の姿を見れば、大体の人は怖がるのだけど、九兵衛はその程度で怖がったりはしない。
なにせ九兵衛はこの学校…というか近隣でも冷血硬派ヤンキーと恐れられている高杉晋助を副会長として顎で使っている女なのだ。
肝は据わってる。
そもそも高杉が生徒会の副会長をしていること自体、何かが間違っているのだが…。
「それは風紀委員の問題です。
生徒会には関係ありません。
とにかく、申請は通りませんから。」
そう言って風紀委員室から出て行こうとする九兵衛の肩に
「待てよ!!
まだ話は終わってねぇぞ!!」
と手をかけた瞬間
「っっ…僕に触るなァァァ!!」
と土方の体は宙を舞って床に叩きつけられた。
「っっ…このクソ女ァァァ!!」
怒りが痛みを凌駕して土方は即座に立ち上がり、九兵衛を睨みつけた。
九兵衛も負けずに土方を睨みかえす。
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