銀魂

□絶対なんてないけれど
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「なんで…」
「何となく分かる。
僕は銀時の事をよく見てるから。」
九兵衛が真っ赤になってうつむいて小さな声で言った言葉に、銀時も年甲斐もなく赤くなる。
銀時が思ってる以上に、九兵衛は銀時の事を好きでいてくれるようだ。
「九ちゃん、銀さんも九ちゃんの事、よく見てるよ!」
そう言って銀時は九兵衛を抱きしめるとその唇に口付けを落とす。
最初は触れるだけの優しいキス。
一度離して今度は深く口付ける。
九兵衛の腕が銀時の首に回る。
銀時はソファの上に九兵衛を押し倒した。
「銀時は、どう思ってるか分からないけど。
僕の世界は、銀時に出会って変わった。
僕を変えて新しい生き方を教えてくれたのは銀時だ。
だから、不機嫌になんかならなくてもいい。
僕が、銀時から離れていくことなんか絶対にないから。」
……彼女は若いから分かっていない。
この世に絶対なんてないことを。
でも銀時は知っている。
絶対なんてこの世にないことを。
いやと言うほど、それを思い知らされてきた。
それでも今は彼女の『絶対』を信じたい。
彼女の世界を変えたのは自分だという、その事実を。
自分が今の彼女の世界を形成したからこそ、彼女は自分から離れていくことはないと、そう信じたい。
「九ちゃんのこと愛してるよ。」
「僕も愛してる。
銀時を愛してる。」
そう言って微笑む九兵衛の首筋に顔を埋めて、この幸せがずっと続くことを銀時は願っていた。

END
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