銀魂

□てめぇじゃなきゃダメなんだよ
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鬼の副長と攘夷浪士に恐れられてる俺が、女一人に感情をかき乱されているなんて誰も信じないだろう。


「あんま、俺の前で男の話とかすんな。
っつか、いくらその気がないからって他の男と同棲なんかすんな。」

「だったら、土方くんと同棲するのならいいのか?」

「は?」

「僕は君が好きだから、いつも一緒にいたい。
同棲したらいつも一緒にいられるじゃないか。
銀時をはめるために演技をした時に、僕はそのことに気がついたんだ。」

ものすごく得意げに、さも自分はいいことに気がついただろうみたいに言われて、俺はびっくりする。

「そう思わないか?」

「いやまぁ、それはそうだけど…。」

「なら、僕はここに越してきていいか?」

俺の腕から抜け出して、キラキラした目で言われる。

「いや、ここ真選組の屯所だから。
同棲するとかそういうことに向かないだろ。」

そういうと俺はため息をつく。

「あのよ、そういうことはそもそも男がいうもんだ。
というか、俺はこう見えて負けず嫌いなんだ。」

そう、女にリードされんのは気にいらねぇ。
俺は立ち上がると箪笥の引き出しの一番上から小さな箱を取り出す。

クリスマスは、コイツが家のパーティとやらに出ていて会えなかった。

それ以降は俺が仕事で忙しくて会えなかった。
年が明けたらコイツが家の行事で忙しくて会えなかった。

だから、買ったけどまだ渡せてなかった。

クリスマスのプレゼントと、年末会うことが出来なかった謝罪も込めて。

そういうつもりでかったわけじゃねぇんだ。
けど、別にいい。
もともと、もうコイツ以外はいらねぇと思ってこいつと付き合い始めたんだから。

「おい、お前はまだ18だし、柳生家の次期当主だし、色々片付けなきゃなんねー問題も山積みだからな、とりあえずは婚約だ、婚約。
次の非番にてめぇの家に挨拶に行くから、親父にそういっとけ。」

俺は箱を渡す。

「は?
婚約?挨拶?誰が?」

その箱を受け取りながらきょとんとした顔をしてる九兵衛に俺は噴出していた。

「俺とお前だよ。
仕方ねぇやつだな。」

俺は九兵衛の手から箱を取り返し、中から指輪を取り出す。

きょとんとしたままの九兵衛の左手をとると薬指にその指輪をはめた。

プレゼントのつもりだったのに左手薬指のサイズに合わせて作ったのも、TtoKとネームが入っているのも、そして石がダイヤなのも。
心のどこかでそれなりの覚悟をしていたからだ。

「エンゲージリングってやつだ。
意味は分かるだろ。」

そういうと九兵衛は目に涙をためて、俺を見上げた。

「分かる。
でも、本当に僕でいいのか?」

「人に同棲迫っておいてよくそんなこと言えんな?
てめぇじゃなきゃダメなんだよ。」

「ありがとう、それは僕も同じだよ。
好きだ、土方くん。」

そういった九兵衛を抱きしめる。

九兵衛と同棲していたのは気に入らないがこういうきっかけをくれた点では万事屋に感謝すべきなのかもしれない。

俺は九兵衛をひいてあった布団に押し倒す。

「婚約したしもう避妊はしなくてもいいだろ。」

そういうと九兵衛の顔が真っ赤になった。

「目つきの悪い子が出来るのはごめんだが、それでも僕たちの子なら僕は嬉しいだろうな。」

「小生意気なガキが出来るのはごめんだが、俺たちの子だったら小生意気でもいい。」

俺は九兵衛の帯を解く。
そして部屋の電気を消した。

END
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