銀魂

□先生は旦那様
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ちょうど夕食の支度が終わった時に家のチャイムがなった。

「どなたですか?」
インターフォンに向かって聞くと

「ただいま。」

とトシくんの声がした。


僕は小走りに玄関に出て行く。

鍵とドアを開けると、土方先生…僕の旦那様のトシくんでもある…が立っていた。

「お帰り!」
そういうと僕はトシくんに抱きついた。

「うぉっ!
急に抱きつくなよ、よろけるだろーが!」
とか言いつつ、しっかり僕を抱きしめてくれるトシくん。

やっぱり大好きだなぁって思う。


僕とトシくんは10歳差があるけど、ご近所の幼馴染っていうヤツだった。

友達ってよりはお兄ちゃんと妹って感じだったけど、僕は小さい頃からずっとトシくんがすきだった。

「大きくなったらトシくんと結婚する!」

が僕の口癖で、でもトシくんは本気にしていなかったと思う。

トシくんが高校生の時は彼女だっていたし、トシくんが20才の時はまだ僕は10才だった。

それでも僕はトシくんのことが好きで、ずっとずっと好きで、ずっとずっと思ってて。

トシくんが高校の先生になった時は、迷わずにトシくんが先生してる学校に進路を決めた。

トシくんは頑張れって笑って僕の頭を撫でてくれたけど、完全な子ども扱いで、それでも僕はトシくんの高校に無事に合格して中学を卒業したときに思い切ってトシくんに告白した。

トシくんはすっごくびっくりしてたけど、

「10才も年下か。
俺ロリコン決定かな。」

とか言って抱きしめてくれた。

僕はトシくんが大好きだった。

けど、トシくんは僕より10才も年上だったから、色々と思うこともあったらしい。

あったけど、やっぱりお前を好きだって思ったからなんとしても周りを説得しようと思ってくれたんだって。

けど、付き合うことにしたと言った時のトシくんと僕の両親はどっちも反対するどころか大賛成だった。

むしろ親たちの方がノリノリで、気がついたらトシくんと僕は結婚までしてた感じだ。

僕はずっと結婚するならトシくんしかいないと思っていたから不満なんかなかったし、トシくんもこれから先ずっと一緒にいるつもりだったから、けじめとして結婚してもいいかなと思ってたといってくれて、4月の僕の誕生日に僕たちは婚姻届をだした。

トシくんは結婚指輪をつけてるし、相手が生徒とは言わずに結婚したことは学校に報告した。

けど、トシくんはかっこいい。

ものすごくかっこいいから、結婚指輪しててももてる。

今日も、部室で食べてたのは僕が作ったお弁当だったけど、その横には手作りのお弁当が三つもあった。

毎日毎日、女子から
「食べてください」
ってお弁当をもらってるんだ。

そういえば、あのお弁当はどうしたんだろう?


「腹減った。
メシは何?」
そういいながらトシくんは僕の背中をおして部屋の中に入ってくる。

もともとトシくんが一人暮らししてた2DKのマンションに、僕が引っ越す形で結婚生活は始まった。

「から揚げとサラダ。」

「うまそうだな!」

極度のマヨラーのトシくんは何を作ってもマヨをかけるからマヨの味しかしないと思うが、うまいうまいといって僕の作ったご飯を食べてくれるから、やっぱりそこは嬉しい。

「今日の弁当のミートボールもうまかったぞ。
市販品と手作りじゃ味が全然違うんだな。」
トシくんはそんなことを言いながらネクタイを緩める。

「そういえば、お弁当をもらってただろう?
三つも。
あれはどうしたんだ?」

トシくんが脱いだ上着を受け取ってハンガーにかけながら聞いたら、急に後ろからトシくんに抱きしめられた。

「昼飯くったあと、きちんと返してきた。
俺には愛妻弁当があっからいらねぇよって言ってな。」

その言葉にほっとすると同時にちょっと頭にもくる。

「それなら最初からそう言って断ればいいじゃないか。」

「なんだ、やきもちか、九兵衛?」

トシくんがニヤニヤしながら僕の顔を覗き込む。

「そんなんじゃ…」

「かわいいなー、お前。
やきもちですか?」

「そんなんじゃ…」

「そうかー、お前でも妬くんだなー。
愛されてんなー、俺。」

トシくんは僕より10才も年上だから余裕がある。
僕はいつもトシくんの手の上で転がされてるんだなと思う。

それでも僕はトシくんに抱きついた。

「ずっとずっと好きだったんだよ。
愛されてるに決まってるじゃないか。」

「やっぱ、お前、可愛いわ。
俺、結婚してよかったなー。」

トシくんが僕を抱きしめ返してくれる。


バカだなー、結婚してよかったと思ってるのは、トシくんより僕のほうなのにな。

学校では旧姓のままだけど、公的な書類を書くときに『土方』と書けるのがすごくうれしい。
こうしてずっとずっと大好きだったトシくんと一緒に暮らせることがすごく嬉しい。

僕は、トシくんが大好きで、ずっとずっと大好きで、これから先もずっとずっとトシくんだけを大好きだ。

幸せだな、本当にそう思う。

この幸せがずっと続きますように、僕は心のそこからそう願っていた。

END
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