ONE PIECE倉庫

□最初の愛
1ページ/2ページ

「違う!
もっと臍の下に力を入れて構えろ!
お前は相手を倒してやるっていう気構えが足んねェ!
それから、相手の刀に当たるもんかって気構えもだ!
今は木刀だが、持ってるのが本物の刀だったら、ちょっと当たっただけでも死ぬぞ!
世界一の剣豪の息子がそんなんでどうする?!」

俺の言葉に相対してた息子…ネフェルタリ・ロアの顔色がサッと変わる。

「絶対にお父様を超えてみせます!」

一度目を閉じて息を深く吐き、目を開けた時、こいつは真剣な目で俺を見据えた。

10年間、会うことも存在も知らなかった息子だけど、この子の存在が、ビビの最後の恋の相手が自分だという何よりもの証という感じがして、そしてその子が俺を超えると宣言し強くなろうとしていることが、俺はすごく嬉しかった。

ビビ以外の何かを、愛しいと思う時が自分に来るなんて…。
それが自分の息子だなんて人生、わかんねぇもんだな…。
そんな事を思いつつ、俺は俺に剣の指導を申し込んできた息子とももう二時間も宮殿内の鍛錬場にいた。


アラバスタでは王家の人間といえども、護身のためにきっちりとなにかしらの武道をやるんだそうだ。

だからビビも女のわりに腕っ節が強かったのかと俺は納得した。

ちなみに息子は父親の俺と同じ剣を選んでいた。
だから今、俺は息子と相対している。
誰が教えてやっていたかは分からないが、こいつは筋がいい。
さすが、俺の息子だと思う。

それにこいつは、髪の色こそ青く、目もくりっとしていてビビにそっくりだが、顔の輪郭や唇の形は俺にそっくりだった。
ガキの頃の強くなりたいと必死だった俺にそっくりだった。

だから、こいつが望むなら、強くしてやりたい、そう思っているんだ。
父親として、そして一人の男として。


「ロア様、もうすぐ歴史の勉強の時間です。」

稽古に夢中になっていたら、ちくわのおっさんが呼びに来た。

「あ、もうそんな時間なんだ…お父様、ありがとうございました!」

ロアは俺にきちんと礼を言う。

俺はこいつの赤ん坊のころから今までの成長の過程を知らない。
だけどビビはきっと周りの力も借りつつ、一生懸命息子を育ててきたんだと思う。

礼儀もきちんとしているし、頭もいい。

剣の筋もいい。
これからしっかり鍛えていけば、相当な剣士になると思う。

俺は鍛錬場をちくわのおっさんと出て行くロアの後姿を見ながら、そんな事を考えていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ