ONE PIECE倉庫

□愛を束ねて
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「おはよ、ナミさん。」
その日の朝、目が覚めたビビはまだ寝てるナミを起こさないように着替えをしていた。
しかし、ナミが布団の中から顔だけ出して自分を見ているのに気が付いてそう声をかけた。

「おはよ、ビビ。
着替えは待って、これを上げるわ。
だから今日はこれを着なさいよ。」
ナミはビビが着替えをしているのを見ると、慌ててベッドから出てきて、自分のクローゼットに入っていたワンピースを出してきた。
ミッドナイトブルーのベルベットで出来た、すごく高そうなワンピースだった。
「ちょっとナミさん、これは一体…?」
「あんたに似合いそうだと思って買ったのよ。
プレゼントよ、ハッピーバースディ!」
ナミはそう言ってにっこりと笑った。
「でもこんな高そうなもの…」
「あんた、王女様なのに本当に遠慮ばっかね。
もらったものはありがとうって言って受け取っておけばいいのよ。
それから、私の誕生日は期待してるからね。」
ナミの言葉にビビは笑顔になって
「それじゃ遠慮なく。
どうもありがとう、ナミさん。」
と笑顔になる。
本当はビビのその笑顔だけで、ナミは十分満足していた。
 
朝食の席でのこと。
給仕をしてくれたサンジが、
「ビビちゃん、お誕生日おめでとう。
ちゃんとしたケーキは夕食に出すけど、これは俺からの誕生日プレゼントだよ。
気に入ってくれるといいんだけど。」
と言ってビビにだけ出してくれたのは、ナミにもらった服に合わせたような深いブルーが綺麗なフルーツゼリーだった。
「ありがとう、サンジさん。」
ビビの笑顔に
「いいえ。
その笑顔さえ見れれば俺は満足です。」
とサンジも笑顔を浮かべる。
「おい、ビビ。
俺は肉をやる!
プレゼントは自分がもらって一番嬉しいものを上げるといいって誰かが言ってたからな!」
そう言ってルフィが差し出したのは朝食の肉だった。
大食らいのルフィがその肉を自分にくれるためにどれだけの我慢をしているのだろうと思うと、ビビはほほえましい気持ちになる。
「ありがとう、ルフィさん。
けど私はもうお腹が一杯だから、四分の一だけもらうわね。
残りの四分の三はルフィさんが食べて。」
ビビはそう言ってナイフで肉を少し切ると残りはルフィに返した。
「気持ちがすごく嬉しいわ。」
微笑むビビにルフィも満面の笑みを返す。
「ビビ、俺はこれだ。」
ウソップが差し出したのは繊細な彫金細工が施されたコンパクトだった。
「中には、チョッパーが調合した傷薬が入ってるぞ。
ビビは王女様なのにすぐ冒険だのなんだのに行って、小さい傷が絶えないからな。」
ウソップの言葉には返す言葉もないが、ビビは笑顔でありがとうとお礼を言った。
チョッパーにも言おうとしたが、
「傷薬はもともと救急箱に入ってるやつだぞ。
俺からのプレゼントはビビの肌に合わせて作った化粧品だ。」
と言って、ビンを差し出した。
「これ一つで大丈夫なように作った化粧品だぞ。
ビビは砂の国の王女なのに綺麗な肌してるんだから、大事にしなきゃだめだぞ!」
とチョッパーが言ってくれた。
「どうもありがとう、トニー君。
すごく嬉しいわ。」
ビビは満面の笑みでチョッパーにお礼を言う。
「そんなこと言われても嬉しくないぞ、このやろー。」
そういいながらニコニコするチョッパーを見て、ビビも嬉しくなる。
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