ONE PIECE倉庫

□どんな宝石よりも
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あの戦いの爪あとはまだアラバスタに色濃く残ってる。

けど、それ以上にこの国の人々の国の復興を願う気持ちは強かった。
あの戦いから、人々が王家に対する不満や批判を口にすることなく、逆に王家に感謝をし、復興のための力を惜しまないのはビビが国のために自らバロックワークスに潜入したことと、そしてあの戦いの真実が分かってもなお、コブラが全てを許し、受け入れるほどの器の大きさを見せたからだろう。
王家の人が誰より民の事を考えてくれてるのに、民が国の事を考えずにいられるわけがない。

そうして復興に向けて国が一丸となっている中、今日2月2日、ビビは誕生日を迎えた。

朝からずっと、忙しかった。
国民がビビを祝うために王宮に駆けつけ、朝から幾度となくバルコニーにでて集まってくれた国民に顔を見せた。
その合間合間に親交のある国からのお祝いや贈り物を確認し、お礼状を書いたり自ら連絡をする。
そんなあわただしくて、だけど自分が生まれたことをみんなが心から祝ってくれる嬉しい一日でもあった。

夜はまた大臣達との食事会もあるけれど、食事会まで間に時間が空いてるビビは今、自分の部屋で窓から外を眺めている。
もう日も暮れかけて、自室から見える景色は茜色に染まっていてとても綺麗だった。

でも、あの船から見る夕焼けもとても、とても綺麗だった。
すごく綺麗で、泣きたくなるほど幸せで、そして本当はとっても切なかった。
それは隣に大好きで大切な人…ブシドーがいて、一緒に見ていた景色だったからもしれない。

自分はこの国を愛しているから、一緒に冒険を続けるという選択は出来なかった。
けど、そんな自分にブシドーは言ってくれた。
「ビビ、お前の愛してるものは、俺の愛してるものでもある。
いつになるかは分からない。
けど、必ず世界一の剣豪になってもう一度アラバスタに会いにくる。
だからお前は、愛する国を守れるだけの、いい王女になれ。
いつも、俺の心はお前のそばにいる。」
そう、心はいつもそばにいる。

そんな事を考えながらぼんやりと景色を見ていたら自室のドアがノックされてビビは我に返り、
「はい。」
と返事をする。
ドアが開いて、顔を出したのはテラコッタさんだった。

「ビビ様、お手紙が届いてますよ。」
テラコッタさんは笑顔でビビに真っ白い封筒を渡す。

だいたい、二週間に一回の間隔でビビに同じ封筒が届く。
それは多分、何より誰よりビビが大事に想い、ビビを大事に想ってくれる人からのものだと思う。
そして本当は一週間前にも届いたけど、今日はビビの誕生日だから二週間を待たずしてこの封筒は届いたのだとテラコッタは思う。

「ありがとう、テラコッタさん!」
ビビはその封筒を見て、惚れ惚れするほど綺麗な笑みを浮かべた。
…子供だと思ってたけど急に『女』になっちまったね。
少し寂しいような、だけどその成長が嬉しくもあり…複雑な気持ちもあるがテラコッタも笑顔でビビに
「本当にお誕生日おめでとう。」
と告げてビビの部屋を後にした。
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