愛のバクダン〜second season〜

□勝一 -katsuichi-
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CASE1


日曜日の午前。
町営グランド。

柔らかな日差しの下、
20代半ばから40代半ばの男共が集う。


より強くなろう!とか
関東大会制覇だ!とか
そういう事よりも、
身体を動かそう!とか
動いた後のビール最高!とか
そういった事がメインであるかのようなサッカーチームであったが、

妙に張り切って気合の入る日がある。


「ぜってーカワイイって!」

「彼氏とかいんのかな?」


チーム全体がざわつく。
既婚者もいれば独身も多い。

嫁や子供、彼女が見学に来る事もままある。
良くある風景なのだが、
張り切り方が違うんだよな。

まるで高校生の部活のように真面目に練習する。
普段よりキビキビと柔軟体操したりなんかしてな。
翌々日の筋肉痛も予想だにせず。


奴等の視線の先、
セミロングの髪を耳に掛け、
パーカーとデニムのショートパンツという、
特に何てことない格好をした少女が一人。


スレンダーな方なんだよな。
の割に胸がデカイんだよ。
パーカーの下、そんな身体にピッタリのTシャツとか着たら、
そこだけ強調されてエロいっつーか。

っていうか、着痩せするタイプなんだよな。
割と。
案外、太腿とかムチッとしてるしな。


・・・・・・。

ショーパン短過ぎだろうよ。


「結愛!」


無意識に声を掛けてしまった。

グランド脇の芝の上で三角座りをして
練習をただ見学していた結愛は、
いきなり呼びかけられた事に驚いたのか、
目を見開いてこちらを見た。


「コレ掛けとけ!」

自分の着ていたジャージの上着を投げて渡す。
結愛は『ちゃんとパーカー着てるのに』とキョトンとした。


『足!』


親父みたいだったのと、
口にするのが恥ずかし過ぎるから、
視線を投げ掛けると、

意味を理解した結愛がジャージを膝に掛けた。


な…ッ!!///


何嬉しそうに笑ってんだよ!
ジャージ掛けた膝の上に顔埋めてんなって!!


「おい、ヒカル練習戻れ〜」


背部から掛かる幼馴染の声に我に返った。


「い、今の何スか?」


何人かのチームメイトが事の一部始終を見ていた。


「コイツはな、
生まれた時からあの子を手懐けて、
年頃になったら食っちまうという
かの有名な光源氏と…」

「ちょ…っ!!
結愛ちゃんってカツさんの?」

「え?何?何歳差?」

「カツさんてロリコン?
嘘だぁ。ロリコン?まじで?」

「そう。
コイツの事はこれから『ヒカル』と呼んでやってくれ」


「うるせぇよ!!
練習始めるぞ!!」


「あ、待って下さいよ!
ヒカルさん!!」


「ヒカルって呼ぶな!!」

好き放題騒ぐチームメイトを一喝して、
グランドに戻っていった。


   .・。*.・。゜☆.・゜*。・

どこの奥様や彼女よりも、
ダントツに若くて可愛い彼女に若干(いや、かなり)の羨望と嫌味を込めて。
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