稲妻11
□ポラリス
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「またね」といって10年
本当にオレ達は1度も会わなかった。
会おうと思えば会えたかも知れない
何故?と聞かれると答えられない理由(わけ)
逃げてるだけだって分かってる。
今まで生きてきた中で父さん以外に
凄く惹かれた人は君が、初めてだった。
太陽のような、あの笑顔
変わったかな?
変わらないかな?
忘れたことは1度もなかった。
想いを寄せたあの日から
今日、初めて君に会う。
約束、覚えてるかな
オレはこの日を楽しみに待っていた。
10年間の想いを吐き出すために
だから今、この木の下で
振り返って伝える。
本当はね、夢の中で会ったんだよ?
君は泣いていたけれど
+++++++
「もし」また会えるのならばと10年
ずっと迷っていた。
だって、約束したから
1日1日が凄く短いことを初めて知った。
早いんだな、時が経つのって
今まで作ってきた思い出は消えないけれど
形あるものは脆いんだって実感した。
透き通った、あの声
どんなだったかな?
ちゃんと思い出せないや
途切れてしまったあの日から
今日、お前に会いに行く。
冷たい雨が振ってる
オレはこの日までずっと覚えていた。
10年分の思いを洗い流すために
そっと触れた木は湿っていて
届くはずはないけれど。
この空に向かって叫んでもいいかな?
『大好きだった』