稲妻11
□BOND
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人はたまに羽目を外したい時がある。
だから風丸のもそういうことなんだとオレは思うようにしてる。
でもやっぱり外し過ぎは良くないと思うんだ。
「なあ、風丸」
「どうした円堂」
「もうそろそろ離れてくれないか?」
「駄目だ」
「えっ、」
「まだ円堂エネルギーが充分に補充出来てない」
エネルギーだとかわけの分からないことを言い出した風丸はさっきからオレにくっついて離れない。
ちなみにここは風丸の部屋だ。
宿題をすると言って来たもののこれでは集中することが出来ない。
まあ、解き方は教えてくれるのだからそこら辺は問題ないのだが。
でもそれとこれとは別問題だ。
「風丸、やっぱりさあ…」
「なぁ、円堂」
離れてくれないか、そう言おうとしたら風丸にさえぎられた。
また何か変なことを言うのだろうかと手を動かしながら続きを待ってみる。
「こうしてるとあったかいな」
こうして聞こえてきたのは今の流れからしてみればおかしな内容だった。
拍子抜けして少し顔を後ろへ傾けてみれば風丸の顔がある。
それがなんとも幸せそうだったから風丸を離そうとしていた数分前の自分を不思議に思った。
「…そうだなっ」
服に顔を埋めきっと赤く染まっているだろう頬を隠す。
でも隠しきれてないんだろうなあ、なんて思いながら後ろの風丸に寄り掛かった。