その他

□K
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「みぃーさぁーきぃー」


不意ってものに人間は弱いらしい。



「っ、んだよ!」

「なあなあ、今感じたよなお前」

「はぁ?!」

「素直になれよ〜感じましたって言えって、なあ」

「ば、ばっかじゃねえの誰が言うか変態ザル!」



いつものように茶化してやるとまたお決まりのパターンがやってきた。



「…変態ザルって何だよ」

「おめえのことだ」

「あ?」

「お?やんのかコラ」

「「………」」



睨み付けてやると睨み返された。
こういう時だけ、こいつは絶対に視線を逸らさない。



「なあ美咲、今日って何の日か知ってんの?」

「…知ってる」

「なんだ知ってんのかよ。つうか、知っててそれかよ」

「…てる」

「は?」

「わ、悪いとは思ってるよ」

「ふーん」

「猿、あのさ…笑わないで聞けよ」

「おー」

「お前といるとさ、なんっつーか毎回喧嘩になっちまってよ…俺だってこうなりたいわけじゃねーんだ」

「………」

「今日だって本当は…お、お前にちゃんと言ってやろうって思ってたんだぜ?」

「何を」

「え?」

「言おうと思ってたこと、ちゃんと言えよ」

「…、いやでも雰囲気的におかし」

「ホラ、後ろ向いててやるからさぁ」

「…んじゃさ、猿」

「何ですか」

「誕生日、おめでとう」

「…、そりゃどーも」



どうせこいつの事だから恥ずかしがって中々言えないんじゃないかって思ってた。だからわざわざ顔見なくても済むようにしてやったのに。
こいつの言い方があまりにも優しいものだから、なんだか俺まで気恥ずかしくなってしまった。
そんな俺の誕生日。








ドルチェリア


END

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