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□第2話 最強で最悪
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第二話
『最強で最悪』










あの蒸し暑さは何だったのか、今では気温も下がり過ごしやすい良い天気の日が続いている。
それに外では冷たくも痛くもない心地好い風が吹いていた。

雷門家は今日も普通に穏やかだ。
といっても家に居るのはオレとアネキの二人だけ。
いつも居るはずのじーちゃんとばーちゃんはどこかへと出かけた。
何もすることがないオレは自分のベッドで仰向けになっていた。


「な〜にをしようかな〜」


本当に何もすることがないから今の状況を歌で表してみた。
そんなことをしてもどうにもならないのだけれど。
仕方ない。
下でテレビでも観ようか。





トントンと階段を下りて行くと片手にコップを持ったアネキに出会った。


「あれ?なんだここにいたんだ」
「なんだとは何だ、なんだとは」


不機嫌そうなアネキは持っていたコップに麦茶を注いだ。
冷蔵庫から出したばかりなのだろうか、水滴がついている。


「あ、それオレにも」


ちょうど良いから自分の分も入れてくれと頼んだら睨まれた。
別に、睨まなくてもいいのに。
今日のアネキはなんだかいつもより機嫌が悪い。

自分の麦茶を入れたオレはテレビを観るためソファーに腰掛けた。
リモコンを手に取り電源を入れる。
映し出されたのは何のへんてつもない番組だった。
他にチャンネルを回してみたけれどオレが好きそうな番組はやっていなかった。
一方アネキはというとなぜかその場を動こうとしない。
オレ同様に何もすることがないのか、理由は分からないけれどなんとなくアネキが不機嫌なのと関係があるのではないか。
オレは暇なのでそう思うことにした。


「なぁアネキ、何でずっと突っ立ってんの?」
「え、あー…別にどうしたって俺の勝手だろ」


気になって聞いてみると適当に返事を返された。
まぁオレもちゃんとした返事なんて期待してなかったしこれはこれで想定内だから問題ない。
次は何と聞こうか、そう考えていた時だ。


−ピンポーン
インターホンが鳴った。

誰だ?こんな暇な時に。
インターホンを鳴らした相手を迎え入れるべくソファーから立ち上がったらアネキにそれを阻止されてしまう。
なんでだよ、と問いかける間もなくアネキは玄関へと向かった。
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