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□夢の国でデートしよう
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ある日、ゾロが目を覚ますと、サンジの顔が目の前にあった。


「ぎぃやあああ!!?」


余りにも大きな声を出されたサンジは、残念そうに溜息をついた。


「朝っぱらから、人の寝起きを邪魔してんじゃねー!!」


「何言うんだよ、今日は東京●ィズニー●ンドに行く日だろ?もう支度済ませてっから、飯くったら行くぞ!!」


サンジは手を軽く挙げて部屋を後にする。


「ちぇっ。あんな事言わなきゃ良かったぜ!」


ゾロは軽く舌打ちをした。



きっかけはこの前の、ゾロの一言からだった。


「●ィズニー●ンドって何だ?」


「あら?ゾロ、知らなかったの?凄く有名なトコなのに!」と、ナミが言う。


「俺は、リゾート地なんざきょーみねーよ。ただ気になっただけだ。」


「なら、チケット応募しよう!!」


バァンと扉を開けて出てきたのはサンジだ。


「ってか、もう応募しておいた♪」


しかし応募とだけあって、手に入らない可能性が大きかった。
だが、見事抽選で当たり、チケットを購入出来た。
そして今に至る。



暫くして支度が整うと、サンジはゾロの手を引いて出発した。
ゾロは小学六年くらい。
サンジは高校生。
なんか似てない兄弟が、仲良く出掛けている様に見える。



2時間ほど掛けて、やっと到着した。
今日は祝日とあって、かなり混んでいた。
うっかりしていたら離れてしまいそうだ。


「ゾロ!手ぇ離すなよ!?」


そう言って、しっかりゾロの手を握る。


何とか人混みを抜け、広場に出た。


「すっげー広い・・・!」


「だろ?俺もお前くらいの時はそう思ったよ。」


サンジの顔を見上げるゾロ。
いつもはあまり見せない好奇心に満ちた表情を、サンジは可愛いと思った。


「よし、どれから乗る?ゾロ?」


ゾロはマップを見詰めながら、当たりを見回している。


「よし、最初はこれだ!」


ゾロを引っ張り、連れて行ったのは●ッキ-●ウスの家!
初めて見た●ッキ-の着ぐるみ(を着た人)にパンチとキックをお見舞いして、サンジを困らせたが、ゾロには良い経験になったようだ・・・



よく走っている路面電車?に乗って、移動する。
その時のゾロは、とても可愛くて、サンジをドキドキさせる。
目を輝かせ、周りの景色をじっと見詰めるその姿に、愛おしいと感じる。
こんなに幸せな時間を過ごせるなんて!
サンジはずっとゾロの顔を見詰めていた。



お昼ご飯を食べ終わってから歩いていると、何やら別の着ぐるみが歩いて来た。
ベースは茶色で、一匹は黒鼻、もう一匹は赤鼻。
ぱっと見、リスの様な印象を受ける。


「お、あれは●ップと●-ルじゃねえか!!一枚撮って貰おうぜ!!」


「え、俺は写んねーぞ!ってコラッ!離せーっっ!!」


ジタバタと暴れまくるゾロを掴んで、写真を撮ってくれと頼む。
快くOKしてくれたので、記念にパチリ☆
ゾロは仕方なく、少しふて腐れた顔をした。



着ぐるみと写真を撮った後、二人は超絶叫マシーンと呼ばれるジェットコースターに乗った。
初めて乗ったゾロは、驚きを隠せず、凄く嬉しそうにはしゃいでいた。



その後には、コーヒーカップやメリーゴーランドのアトラクション。
メリーゴーランドの馬は、ここでは●ィズニーのキャラになっていて、みる人の目を愉しませる。
サンジがゾロと一緒に座ろうとした時、パンチを食らわされた事はさておき・・・。



あっという間に時間は過ぎ、もう既に夕方で、周りの景色はオレンジ色に染まっていた。


「・・・もう帰るぞ。ゾロは早く寝ないといけねーんだから。」


サンジがそう言っても、ゾロは黙ったままだった。
ついさっきまでは、あんなにはしゃいでいたのに。
やっと、ゾロが口を開いた。


「・・・最初は気になってただけだった。でも実際に来てみると、スゲー疲れるけどめっちゃ楽しんでた。こんな事初めてかもしれねー。・・俺っっ、次の時は何時此処に来れるんだ!?・・・サンジッッ!!」


必死なゾロの気持ちが伝わってきた。
『もう少し、此処に居たい』というゾロの気持ちが。


「・・・・分かったよ。こうなったら、夜遅くまで居てやろーじゃねえか!!」


サンジの言葉に、ゾロは凄く嬉しそうに笑った。



夜になって、涼しい夜風が吹き始めた。
夕食を食べていると、なぜか周りが騒がしくなってきた。
パレードでもしているらしい。


「そろそろ、行くか。」


そう言って、サンジが立ち上がる。


「?むぐぐっ、むぐ、モゴモゴ?(行くって、何処に?)」


口に沢山食べ物を入れていたので、ちゃんと喋れなかったが、サンジは理解出来たらしい。


「パレードだよ。夜の一番の催しもんだ!!」


ゾロの手を引き、群衆の中を擦り抜けてパレードの方に向かった。
騒がしいが、こういうのもたまには悪くない。
目の前を、沢山のキャラが乗った乗り物が通り過ぎていく。
それの一つ一つに、目を奪われた。
サンジはゾロに問う。


「さっき、お前言ったよな。スゲー楽しんでたって。こんな事初めてかもしれねーって。此処に来て・・・俺と来て、良かったと思うか?」


ゾロは暫く考える様に、しかしすぐに答えた。


「此処に来たのは良かったけど、サンジと来なくても良かったと思う。」


「・・んなッ!!俺以外の奴と行って、お持ち帰りされたらどうすんだよ!?」


つい本音を言ってしまった事に気づき、慌てて口を閉じる。


「・・・?お持ち帰り=E・?」


「あ、いや、今のは言わなかった事にしよう!!」


そう言って慌ててパレードに視線を向ける。
また、パレードを夢中で見詰め始めるゾロを見て、サンジはそっと、その肩を抱き寄せた。



パレードを見終わり、帰途につく。
ゾロはサンジの横で、無防備な表情で寝ていた。
それがとても可愛くて、サンジはとてつもなく襲いたくなるのだが、今は止めておく。
コイツが大人になってからの、お楽しみだ。
そう、自分に言い聞かせる。


ゾロの意識が少し戻った時、サンジの声が響く。
『早く大人になれよ。』と。


「何だよ、それ・・・」


再び意識が遠退いていく。
その最中に、ゾロはそう呟いた。





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