肉食系彼女!

□第一話 肉食系女現る!
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そこには約一週間前にバス停で出会ったあのイケメンがいた。
「や、久しぶり。」
あの時と同じ甘い微笑み。
「あ、えっと、その、お、お久しぶりでございます。」
「……ップ。アハハハハハ!なんでそんな緊張してんの?」
「え、いやその…」
短い前髪に少し長い襟足まである髪。
色素の薄い茶髪は夕日の光を受けて赤色にキラキラと輝いている。
少し垂れている目は春の木漏れ日の様に千尋を見つめている。
「あ、ど、どうしてここに?」
「ん?家がこの近くなんだ。妹の彼氏が来てるから気を遣ってこの辺ぶらぶら散歩してたの。」
「へぇ…。あ!あの、もしよかったら名前、教えてくれませんか?」
「ん?いいよ。」
「本当ですか!ありがとうございます!あ、俺、本田千尋っていいます!」
「榊 晃。よろしく。」
晃は、すっと千尋の前にすらっとした手を出す。
「えっと…」
「握手。…しよ?」
ハンバーグのような小さい手を晃の手に重ねる。
(触れるだけでとろけそうになる…)
頬を真っ赤にしながら晃の手をぎゅっと握る。
恥ずかしくて俯いていた顔を少しあげると、そこには最初の時とは違う優しい笑みが目の前にあった。
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