肉食系彼女!

□第一話 肉食系女現る!
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雪が音もたてずにゆっくりと落ちてくる。
冷たいその小さな塊は少年の頬にあたってじわっと溶けていく。
「雪…。通りでさむいわけだ。」
少し赤くなった手を擦りながらとぼとぼと坂道を下っていく。
少年の頬にはうっすらと涙の跡が残っている。
「どうして俺って男しか好きになれないんだろ…」
そう呟くとまた涙が目に溜まってきて急いでそれを指で拭う。
「ぐすっ、…う、うぅ……。」
少年はバス停の前まで来ると時刻表をチェックしてベンチに静かに座った。

むぎゅっ

なにかを踏んだような音がして、急いで立ち上がりベンチを見る。
そこには目鼻立ちの整ったイケメンと言われる部類にはいる顔の人間がスースーと寝息をたてながら寝ていた。
絹のようにさらさらな髪に陶器のような白い肌。
少年がしばらく見惚れているとそのイケメンはうっすらと目を開いた。
「ん、……誰?」
「え?あ、あっ!ご、ごめんなさい!踏むつもりはなかったんです!」
「……。」
「ほ、本当に申し訳ありません!き、気づかなくて!」
「…落ち着いて。」
「え、は、はい。」
「大丈夫だから。」
そういって柔らかく微笑むイケメン。
(この時俺は不覚にもこの人に恋をしてしまったのだ)
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