眠らぬ街のシンデレラ

□意地悪な彼の扱い方*遼一
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「おーい名字!」


「なんですか編集長?」


「今、廣瀬先生からお前に指名が入ったぞ」


(えっ…指名?)


「りょ…ひ、廣瀬先生からですか?」



「ああ、…用件はよくわからないが…とりあえず、いいネタつかんで来い!」


「は、はい!」


編集長が私の背中を押す。
私は慌ててバックを手に取ると、編集長に言われた住所へと急いだ。



(突然指名ってなんだろう…)



連載のこととか考えるけど、思い当たる節は全くない。


(というか…最近会ってないから…ちょっと嬉しい)


遼一さんの顔が久しぶりに見れるので、たとえ仕事だとしてもなんだか嬉しかった。



編集長に言われた住所に何も考えずに来ちゃったけど…ここって…









ピンポーン


インターフォンを鳴らす。
…出ない。


(まさか遼一さん家だったとは…にしても遼一さんでないなあ…)


ガチャ…


(わっ!カギあいてる なんて不用心…)


ここは遼一さんの彼女という立場を利用して、
勝手に入ってもいいかな?


なんて自分を正当化し、玄関に足を踏み入れる。


「おじゃましまー…ひゃあ!」


そこに半裸姿の遼一さんが現れる。



「そんな恰好でなにやってるんですか!」



「なにって…名無しさんと会うにあたってシャワー浴びてたんだけど?」



「誤解を招くような言い方はやめてください!」



「へえー。誤解するんだ?」



遼一さんが意地悪そうに笑う。



「遼一さんの意地悪!」



「とりあえず中入れよ。そんなところにいると風邪ひくぞ?」



(裸の人に言われたくないです…)


そうして私は久しぶりに遼一さん家に足を踏み入れた。





着替えをしている遼一さんに向かって今思い出したことを言う。


「そういえば玄関のカギ開いてましたよ?」


「ああ…あれは名無しさんがもう来るころだと思ってシャワー浴びる直前に開けた。」



「まったく…強盗でも来たらどうするんですか」


「はいはい強盗ね。んじゃ、今後そういうことがないように…ハイ。」


そういって遼一さんは封筒を私に手渡す。


「これって…カギ?」


「ああ、合鍵。」



「うそ…」

(これってなんか本物の彼女みたい!って実際そうなんだけど…)


「ありがとうございます!大切に使います!」


「ハハッなんだそれ。つーか毎日使ってもいいけどな」



(それって…毎日この家に来るってこと?)



「まあ、泊まっていけばその必要もないんだけどな」


「ダ、ダメですよ!仕事もあるし、それに…」



「ハハハッ、冗談だって。お前そういうとこホント可愛いよな。」


(うう…本気にしちゃって恥ずかしい…)


「ところで今日の用件はなんですか?」


「…ああ、まあなんていうか…俺を愉しませろ、みたいな?」


「はい?」


「はっきり言うと、特に用事はない。」



そういって私の唇を指でなぞる。



「…なっ!それ職権乱用っていうんですよ!
はあ〜…今週中に企画書も出さなきゃいけないのに…」



「理由はお前と会いたかったから。それじゃダメ?」


(そう言われると…弱いんだよなあ…)



「…分かりました。じゃあ、企画書一緒に考えてくださいよ?」


「了解」


そういうとあっという間に抱きかかえられてしまった。


「ちょ、ちょっと遼一さん!」


「何?」


「まだお昼ですよ!?」


「愛を育むのに時間帯なんて関係ないだろ」


(そういうことをまたサラッと言うんだから〜っ)


「あの!」


「あーハイハイ。分かりました。愉しみは最後に取っとくことにしますか」


(ふぅ…とりあえず免れた。お昼からそういうことするのは…なんかちょっと恥ずかしいもんね。)


「じゃあこの後どうしますかっ?」


「お前…あからさまに元気になったな…」


遼一さんが肩を落とす。


(うそ…本気で落ち込んでる!?)


私は慌てる。


「あ、あの、遼一さんが嫌いとかじゃなくて、むしろ好きだからっていうか…遼一さん?」


遼一さんは、意地悪している時の顔を浮かべている。


「ん?聞こえなかった。もう一回いって?」



(うわっ…絶対聞こえてたのに!!まんまと嵌められた!)



「もう言わないですよ!」



そう怒る私の唇を遼一さんの唇が突然ふさいだ。



「怒ってるお前も可愛いーな。」


「ん…っ!」


そう言ってもう一度私にキスをする。



「でも、名無しさんは笑った顔が一番だな。」


「えっ…?」


「あとキスしてるときの顔。」


「も、もう!」


私は照れ隠しで遼一さんのことを軽く叩いた。

…遼一さんは笑ってそれを受け止めてくれる。


「やったな?」



遼一さんが仕返しとばかりにギューッと私を抱きしめる。


私もその仕返しに強く、強く抱きしめ返す。



このまま時間が止まってしまえばいいのに。


ああ…しあわせ。



怒ってたこととか、なんで怒ってたのかとか、もう…忘れちゃった。



「はー疲れた。夜に体力残しとかなきゃいけないのにな?」


「遼一さん!」


「そう怒るなって。ちょっと休むか。」



じゃれあっていて疲れていた私は素直に遼一さんの隣に座った。



「お前といると飽きないな」


遼一さんが遠くを見て言う。


「そうですか?」


「ああ…。色んなイミでな。」


そういってこっちを向く。


(色んな意味って…。でも…嬉しいな)


遼一さんが愛しく感じる。



「あー、帰したくねーな…」


(遼一さん…)


ちゅっ


私は、…遼一さんの唇にキスをした。


「名無しさん…」


遼一さんが驚いたという顔をする。



「私も帰りたくないですっ」



「お前……可愛いすぎだろ…」



遼一さんが、照れたような顔をして私を抱きしめる。


強く、強く、苦しいくらいに…。


ああ、愛しいなあ


私はこの時間をまだ終わりにしたくはなかった。


きっと、それは遼一さんも…



「お前…今日はここにいろよな。」


ほらね?



編集長、ごめんなさい


今日は…帰れそうにありません。



「今から寝室連れてってやる」


「ひゃっ」



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