眠らぬ街のシンデレラ
□本音*遼一
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そういって名無しさんは遼一の事をを睨みつけるが、その表情は遼一を煽るだけのものにすぎないとは名無しさんは知らない。
「お前分からないだろうし、答え教えてやるよ答え。」
「・・・」
「正解はな、名無しさん、お前。」
そう言って遼一は優しい眼差しで名無しさんを見つめた。
「・・・・・・えっ、私ですか?」急に頬を染めて下を向く名無しさん。
「だからさ、お前とキスができれば俺は満足なの。」
「んっ」
そういって突然遼一の唇が名無しさんの唇を塞いだ。
それは、とても優しいキスであり、名無しさんは抵抗することなく遼一に身を委ねた。
名無しさんは知っていた。
普段は意地悪なことばっかり言っているけど、実は遼一は優しい心の持ち主であるだと言うことを。
「もう、廣瀬さんたらいつも突然なんだから・・・っ」
真っ赤になりながらそういいつつもなんだか名無しさんは嬉しそうであった。
「今日は、えーと ありがとうございました」
「お前、言っとくけどこれデートだからな」
「えっ これってデートだったんですかっ!?」
「お前・・・打ち合わせで遊園地だの水族館だの行くと思うか?」
「まあ、それはそうですけど・・・」
「それとも何お前。俺がデートでもないのに女と遊園地に遊びに行くようなやつに見えたのか?」
「うっ・・・」
「・・・まあ俺の日頃の行いを見てたら思って当たり前だろうな」
「えっ?」
「でもこれはデート。ちなみに俺は好きな女としかデートしないから」
「・・・っ」
それからは二人は他愛のない会話をして残された時間を過ごした。二人ともまだ離れたくない、このままずっと・・・
という想いを抱きながら・・・
帰りの時間が近づき、ふと名無しさんが寂しそうな顔をする。
この表情を見てやはり遼一は思うのであった。
ああ いつのまにこんなにも綺麗になってしまったんだろう。
「もうそろそろ帰るか。」
「そうですね」
「それともどっか泊まってく?」
「・・・」
それは、月の綺麗な夜のことであった。