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□俺はおめぇを手放せない
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蛇「…へぇ。じゃあ、行けよ」



俺は裸の名無しさんを部屋から出し、襖を閉めた。




俺は、愛し方が歪んでるからよ。




『蛇骨っ、着物……!』

蛇「そのまま行って、睡骨に抱いてもらえば?」



本当は、そんな事嫌なくせに。

そんな事、思ってねぇくせに…。


でも、こんな事しか俺、言えねえんだ。



さぁ、選べよ。

このまま、睡骨の元へ行って平凡な愛に、包まれるか…


それとも。




『…っ、ごめんんなさいっ。私、蛇骨以外に抱かれるなんて、やだっ………』


襖の向こうから聞こえる、愛しい女の声に、震い付きたくなる。


蛇「……だから?」


もう、その言葉だけで十分の筈なのに、まだ先の言葉を求める。



俺、欲張りだからさ。




『……私を、もっと壊して下さい』



蛇「ん。いい子…」



襖を開け、名無しさんを抱きしめた。


蛇「傷なんて、俺が舐めて治してやるっつーの」

『ん…』




そしたらまた、新しい傷、つけてやるからよ。

今度は、もっと深い傷をな…。







本当は、愛しいおめぇを逃げさせてぇ。

こんな傷だらけになってまで、俺が好きだって言うおめぇを…。


だから、さっきのは賭けだったんだ。


もし、睡骨を選んだら、俺はおめぇを解放してやるつもりだった。



でもよ、おめぇが俺を選んじまったから………



蛇「もっと泣けよ」






俺は、おめぇを手放せねえや……。



END.
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