Lost Kingdam -1- 亡国の騎士


□【Prologue.『落日の陽光』】
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そのウォールウィンド王国の中心、国都リアガルは昨夜、歓喜に湧いていた。それはウォールウィンド王国第4代国王であるダリー=ヘインズ=テラーとその正室ユングラシ王妃との間に4人目の嫡男が誕生されたのである。

町中の人が身分を越えてこの慶事に喜びを顕わにし、盃を交わし合った。このめでたき日は国民にとっても一大の喜びだった。

だが、その喜びもつかの間、その夜にもたらされた急報がこの国の希望を絶望へと突き落とす事になる。

『申し上げます。ラクティス共和国の奇襲にあい、アマカラスは陥落、ラムール将軍は討死されました。敵は国都を目指し北上、既にガルナ渓谷に差し掛かっています。その数にしてガルナ渓谷守備隊には荷が重いかと』

ウォールウィンド王国南部に位置する砦『アマカラス』が抜かれたとの急報が入ったのは夜も更け、満月が燦々と月光で国都リアガルを包み込む、そんな時間帯であった。

知らせてきた衛兵はその背中に数本の矢を突きたてられ、顔は頭部裂傷により、流れた血が薄黒く固まっていた。命からがら、と言う言葉がぴたりと似合う。

ダリーはその知らせに臣下を直ぐ様玉座に召集し、王立騎士団には出撃準備に入らせた。
 
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