哀願〜あの時あなたさえ来なければ〜
□淡い思い出
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結局、守は卒業式まで仁美に思いを伝えられないでいた。
迎えた卒業式。
卒業式が終わってクラスメートの女の子が泣き、男の子がはしゃいでいる中で、守は仁美の姿を見つめていた。
『あれぇ〜?守くん、さっきから仁美見てるけど、もしかしてもしかしてぇ〜』
クラスでも人気者の夏美が守に気付いて声をかけてくる。
守はスポーツはできたが、人気者ではない。
一方の夏美はキリッとした美人タイプで、男の子から最も人気のある女の子だった。夏美は明るい子で、なぜか良く守と話をしていた。何となくフィーリングは合うが、守には付き合うほどの気持ちはなかった。
『そ、そんなんじゃねぇよ…』
守はドキッとして仁美から視線を逸らして窓の外をみた。