陵辱の地下室
□迫る宴
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男たちの声が聞こえなくなり、麗子は恐る恐る身体を動かした。
膝を立てるように屈み込む姿勢をとると、背中の方で『ギシッ』という音がして光が射し込んでくる。
ゆっくりとシーツや毛布を掻き分けて、頭をもたげて周りを見渡すと、そこは麗子にとってはみたこともない、何ともいえない底知れぬ不気味さを感じさせられる部屋であった。
『あたしがなんでこんなとこ連れてこられなくちゃいけないのよ…』
麗子は恐る恐るロッカーから抜け出すと、数枚のシーツを掴み、部屋の隅に膝を抱えて座り込んだ。
麗子の着ていた服は自分自身の汗でぐっしょりと濡れていた。
『これからあたし、どうなっちゃうんだろう…』
慌てて自分が持っていたカバンがないかロッカーの中を探してみるが、何もなかった。
『携帯もダメか…』
麗子はカバンに入れていた携帯が手元にないことに気づき落胆の色を濃くした。
これで自分から外部と接触する方法はなくなった。
膝を抱えて座り込むと、これからの不安が次々と襲ってきて泣きたくなってくる。
涙がこぼれ落ちる寸前で唇を噛み締めて我慢していた麗子だったが、ちょっとのことでその我慢も限界になることはわかっていた。
一時間くらい経っただろうか…部屋の外に男たちの声がする。
麗子は緊張で身体が震えてくる。
バタン
扉が開けられ、数人の男たちが入ってくる。
『おや?ちゃんとロッカーからは脱出できたようだな…』
麗子が部屋の檻の奥で座り込んでいるのをみてとると、男の1人が低い声で呟いた。
ガチャ
檻の南京錠が開けられ、男たちが更に麗子に近付いてくる。
麗子は恐怖に駆られ、先ほどよりも大きく身体を震わせながら身を固くした。
1人の男が麗子のそばまできてしゃがみ込んだ。
正面から麗子の顎を右手で掴むと、
『こんにちは、麗子さん。』
と麗子に話しかける。
麗子は突然、見ず知らずの男に名前を呼ばれて驚いた。男の顔をみるが全く心あたりがない。
『だ、誰なんですか?』
恐る恐る声を出す麗子。
『ん?俺たち?誰だっていいでしょ?俺たちは麗子さんのこと知ってるけどね…』
『ど、どういうことですか?私が何かあなた達に迷惑でもお掛けしましたか?』
『迷惑?そんなのないよ。』
『じゃ、なぜ私を…?』
『まぁ深く考えないでくださいよ。仕事先には長期休暇を取るってことにしてあるからたっぷり楽しみましょう?』
『えっ?どういうこと?休みなんて入れてないですよ。』
『ははは、まぁ、そういうことだから。』
男は笑いながらそう告げると
『大地、縛っておけ』
と1人の男に命令して檻を出て行った。
大地と呼ばれた男は、麗子に近付くと、手にしていたロープを麗子の前に差し出した。
『悪いけどそういうことだから』
大地はそう告げると、麗子の右腕を掴んだ。
『嫌っやめてくださいっ』
キリッと歯を食いしばって大地を睨みつける麗子。
『そんなに怖い顔しなさんなって…』
大地が笑いながら掴んだ麗子の右手を引っ張る。
『は、離してっ』
必死に振り解こうとする麗子。
『あんまり手荒なことはしたくないんだ。頼むから大人しくしてくれよ。』
大地が語りかけるが麗子は聞く耳を持たず、必死に掴まれた右腕を振り解こうと暴れる。
『大人しくしろって言ってんだろ』
パチーン
大地の平手が麗子の右頬に入る。痺れるような痛みが走る。とめどなく溢れてくる涙。
大粒の涙が頬を伝う麗子の両手を前に組ませると、大地は両手首にロープをかけた。
両手首をしっかりと固定すると、そのロープは肘の所で交錯し、ぐるりと一回転して結び目を作り、そのまま首に回されて結ばれた。
麗子は両腕を揃えて伸ばしたままの状態で縛られた。