哀願〜あの時あなたさえ来なければ〜
□淡い思い出
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守は学校から帰ると、自分の部屋で携帯とにらめっこしていた。
『かけても大丈夫かな?』
『気味悪がられたらどうしよう…』
『無視されるか?』
さっきからぶつぶつと独り言を呟く。
守は去年の夏に同じクラスに転校してきた仁美に一目惚れしていた。
でも、スポーツは万能だが、女性に対して引っ込み思案なところがある守は、なかなか仁美に思いを伝えられずに中学卒業を目の前にしていた。
高校はそれぞれ別々なところに決まっている。
悶々とした毎日の中で、帰宅して携帯とにらめっこする日が続いていた。
そして時間だけが過ぎていく。
『はぁ〜っ』
結局、ため息をついて守は布団に入って眠りについた。