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□ただ君にありがとう
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TOA シンルク



生まれた瞬間から…偽りの陽だまりに俺はいて…

生まれた瞬間から…僕は自分が失敗作だと知っていて…



偽りの陽だまりで、幸せな孤独を知って…

灼熱の赤で絶望を知って…


俺は

  僕は
 
 大きくなった…


――――――
―――

ムカつく奴だと思っていた…何も知らずに気楽に生きていて…
僕と同じ、作られた命と知らずに…

誰かに必要とされている…

でもいつの間にか…思いは変わっていた…

――――――
―――
冷たい奴だと思っていた…

でも、それは違っていて
彼が冷たくなったのは周りの環境のせいで…

本当の彼は…
とても優しいのだ…

―――――
月の綺麗な夜に…君と会う。


「シンク、ありがとう…」

人は安らかな眠りにつく時間に示し合わせたわけでもなく
自然に僕らは会っていた…

何かを話すわけでもなくただ…空を見つめて


「何を言い出すのさ、気味が悪い…」

「んっ…ただね…シンクが生きててくれてありがとう…。そう思っただけだよ…」

二人でただ月を見つめよう…

「奇遇だね、僕もそう思うよ。生まれてきてくれてありがとう…ルーク」

二人でただ月を見よう…
二人でただ…幸せに笑いながら


生まれてきてくれて
ありがとう…


END
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