■ピーチボーイ![1巻]

五「炸裂!犬猿の仲!」
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二時間ほど歩き続け、僕達は少し休憩をとる事にした。


一同道の端を流れる川の岸辺に腰をおろす。

結構流れの早い川だな…。

僕は人一倍ドジでどんくさいからつま付いて落っこちたりしないように気を付けなくちゃ…。


そういえば、二人の事でずっと気になっていた事があったのを思い出して僕は二人に尋ねてみる事にした。

「ねぇ、僕思ったんだけど、“おとぎ人”って動物に変身しなければ普通の人間なんかと見た目は全く変わらないんだから、変身しなければ人里で生活出来るもんじゃないのかな…?」

その僕の問いに千宵は首を横に振る。

「甘いわね、桃太郎。
おとぎ人の変身を甘く見ちゃぁ駄目よ」

珍しく意見があったのか、離れて座っていた佐々海はうんうんと頷いている。

「どういう事?」

「確かに変身は私達の任意で出来るわ。
でもそれ以外に、興奮したり、驚いた時とか、とにかく感情が高ぶった時に希に変身してしまう事があるのよ。

こればっかりはなかなか制御出来ないのよねー…」

「猿の言う通りでございます。
それ故、私達はおとぎ人であるという事を隠して生きていく事さえ出来ない為、人との共生はしないのです」

なんと…。
そんな事実があったなんて…。

それじゃあ人里での生活は至難の業だよね。
だから15年生きてきて、おとぎ人とまったく出会わなかったんだ。

「だけど、動物に変身するからって、人は忌み嫌う…。
そんなのって極端だよ!
動物に変身するってだけで、僕らとは何も変わらないのにさー…」

僕は真剣な顔で話す。

「そうは言うけどね、桃太郎は妖怪怖いでしょ?
妖怪だって、危害を加えなきゃただの生き物。なのに妖怪ってだけで桃太郎は怖がるでしょー?それと同じよ」

僕はハッとした。

そうだ。
人は見た目や能力が自分と違うだけで、違う姿の者を恐れ、負の存在と捉えてしまう。
確かに、妖怪は何がなんでも怖いと僕は思ってしまう。

けど、妖怪全てが人間を襲ったりするわけでもないのは、僕も知っている。

…やっぱり僕も、普通の人と同じ、単純で流されやすい考えで、勝手に物や人を判別してきたのだろうか…?

そう思うと、僕はなんだか悔しい気持ちになった。

自分は、心が狭いのではないか…と。

「でもさぁ、何だかんだ言って、桃太郎みたいに私達おとぎ人と慣れ合おうなんて人間そうは居ないわよねー。

だから、別に気を落とす事ないんじゃない?」

そう明るく笑う千宵。

おとぎ人である君の方が、ずっと煮えきれない思いをしてきだだろうに…。

僕はそんな彼女に励まされてしまった。

どうして、僕はこんなに情けないのだろう…。

どうしたら心が強くなれるのだろうか…。

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